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久しぶりの和也の部屋。
初めて入ったときの何倍も緊張してる。
相変わらず窓の外は絶景。
この景色を毎晩独り占めできる和也が羨ましいと思うけど・・彼はこの景色に感動はしないって言ってたっけ。そもそも、感動なんて言葉が、和也に存在するのかな。
「飽きないねぇ、Aは。」
「こんなにキレイな夜景に飽きる貴方の方に問題あるんじゃない？」
やっぱり、存在するわけないか。
「でも、Aと一緒なら飽きずにみてられるかもなぁー。」
「・・はいはい。」
「なんだよ、その冷めた返事は。」
「ものすごく嘘くさい。」
「・・言ったな？」
ソファにいたはずの和也がすぐ隣に立ってて、私の両手を掴んでる。
悪いことを考えてる顔がゆっくりと近づいてきて、キスをする。
触れるだけの行為に、頬が一気に熱くなる。お互いの気持ちが通じただけで、こんなにも変わるなんて。私にも女心が残ってみたいだ。
どんどん長く、深くなる。
一気に熱が体中に広がってく。
窓の夜景を見ながら、窓に映る自分の乱れた姿を見ながら、意識が飛んでいって。
気づいたらベッドの上だった。
「・・和也？」
ベッドの脇に両腕を組んで私をみてる和也。左手は和也の腕に絡まるように繋がれてた。
「ごめん・・やり過ぎた(笑)」
「言い方！でも・・やり過ぎ(笑)」
「ついつい、興奮しちゃって♡」
「もうっ！！オブラートに包め！！」
シャワーを浴びたのか、ペチャンコの髪が幼くみせて。上目遣いも合わさって、かわいくてドキドキしてる。
前髪で隠れた瞳は、優しく細まる。
でも少し寂しそうに揺れてみえて。
「和也？」
「ん？・・もっかいする？」
「・・バカっ！！」
少し心配だなんて、根拠もなく感じたことが余計不安で。
「腹減ったろ？」解かれた腕も、部屋を出ていく後ろ姿も、不安を煽る。
リビングのテーブルに並べてある、和也特製、残り物を具にしたチャーハンの湯気がゆらゆら揺れる。
和也が、私が食べてるのを嬉しそうにみてる。いつも通りがさらに不安を大きくしたけど、幸せが『大丈夫』って根拠のない安心で覆い隠した。
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作者名：蒼しょこら
| 作成日時：2019年6月5日 13時
