24.やがて ページ25
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新年になり、
翔のバースデー…
バレンタイン…
私は大学院を卒業し…
ホワイトデーには翔と旅行の計画…
旅行から帰ったら
大阪に転居することになってる
ハードワーク、マルチタスクで
必然的に埋まっていくスケジュール…
もう、どう足掻いても引き返せない…
翔と、過ごす未来、第3章は、
まるでドラマを見るような妄想の域で、
現実とは別次元だと意識していた。
宝くじが当たった場合の妄想と
同じレベルだった…
毎日好きで好きで、幸せで
このリアルな夢から覚めずに
時を止めたい…
そう願うのは私だけなのだと
信じて疑わなかった…
第2章の計画に囚われた私は
なすすべもなく、着々とそちらで
成果をあげている。
翔と離れなければならないこと以外は、
全て順調だ
翔と共に生きる未来に、第3章へと
ハンドルをきる発想がなかった
どうして確かめなかったんだろ…
愛されてると感じた瞬間は
あちこちに散りばめられてたのに
錯覚しないように頑なにスルーしてた
もし、気持ちに素直になって打ち明けてたら
「東京に居なきゃ、翔と共に生きられない」
っていう私の固定観念も
翔が解きほぐしてくれたかも知れないのに
あの時の私がもっと柔軟で勇気があれば
あの愛しいオトコと、
愛を育んで行けたかも知れないのに
あんなに好きだったのに
ホワイトデーの旅行が
2人の最後だと
思い込んでた。
その気持ちは態度や言葉の端々に
醸し出され、やがて暗黙の了解となった。
来期大学四年生になる翔は就活を理由に
三月末でバイトを辞めることになってて、
バイトの身でありながら、
社員に引き継ぎし、
社員教育までぬかりなくやってのけた。
私と翔で作り上げたフロー、
プログラム、マニュアルの完成度の高さが、
賞賛を得た。
最後に予定してた旅行の日、
私にビジネス上の朗報が入り、
来日した取り引き先が、
会ってもいいと言ってきた。
躊躇する私の背中を押したのは
翔だった。
翔の同級生で、
父の会社のアンテナショップとして
コーヒーショップを運営してる親友が
店舗改装してて、お休みだから
私の代わりに翔と旅行に行ってくれた。
お土産に貰ったストラップ、
翔とお揃いで大切に大切に
宝石箱にしまった。
翔は、円満にバイトを卒業して、
私にはお土産だけ渡して
握手して別れた。
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作者名：まゆら | 作成日時：2020年1月12日 16時
