キャニング・ウルフ -S.Hirano-

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平野さんに連れてこられたのは、住宅街の中にあるこじんまりした隠れ家的なカフェテラスだった。ログハウスのような建物の外にガーデニングの行き届いたお洒落な庭があって、テラス席が充実している。



そんな外観と軽めのメニューのラインナップからか、店内は女性客か若いカップルしかいない。お腹を空かせた成人男性が食欲を充たす場所としては明らかにミスチョイスだし、金髪にサングラス、極めつけに上下ジャージという格好をしたヤンキー姿はカフェの中で悪目立ちしまくっている。そんな人と一緒にレジ待ちの列に並んでいる私も当然悪目立ちしている。



「やっぱりここはやめませんか？」


「何でだよ、ここのパンケーキふわふわで最高だぞ？抹茶小豆が美味い」


「…分かりました、もう何でもいいです」



ふわふわのパンケーキというのと対極にあるような見た目でそう言われて、反論する気も失せてしまった。他のお客さんはだいたいお喋りや勉強、仕事などに夢中でそこまで見ていないはずだし、まあ良いか。私たちは看板メニュー兼Asakaさんのお気に入りの品らしいパンケーキとカフェラテをそれぞれ頼んで窓際の4人掛けの席に向かい合って座った。

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