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平「なんか落ち着く」
「え？」
もう日が落ちて
暗くなったグラウンドの
遠くの方を見つめて
切なそうな顔をする先輩を見て、
喉の奥で言葉が詰まる。
平「Aちゃんの隣、落ち着くなって」
未だ逸らさない先輩の横顔を見つめ、
気付いた時には
無意識に言葉が零れ落ちていた。
「………好き」
平「え？」
「…え？」
私、今なんて……
途端に逃げたくなって
先輩から顔を逸らす。
「いや、その……」
俯きながら途切れ途切れの言葉を
なんとか紡ぎ
苦し紛れになんとか誤魔化そうと
必死になっていると
頬に違和感を覚える。
慌てて顔を上げると
私に手を伸ばし
水分を多く含んだ瞳で
見つめる先輩がいた。
息を止めた私は目を泳がせていると、
ゆっくりと近づいてきた先輩の唇が
私のものと優しく触れる。
その瞬間、涙腺は使い物にならなくなり
一気に涙が溢れ、制服のシャツに
分かりやすく染みを作った。
紫「…そんな顔しないで」
分かってた。
私だけじゃないって。
誰にでも同じ言葉を繰り返して、
同じことをして。
でも別に、一番じゃなくてよかった。
何度傷ついてもよかった。
ただ笑いかけてくれるだけで
それだけでよかったんだよ。
紫「Aちゃん、後夜祭行くんだっけ？」
「なんでですか？」
紫「俺もう帰るつもりだったからさ、行かないなら家まで送ろうかなって思っただけ」
もうこの頃の私には
廉の存在なんて
頭の片隅にもなかった。
“ はよ来いよ ” なんて、
体育館で今頃私を待っているはずの
廉の言葉なんか何処かに消え去って
飛んでしまっていた。
紫「もし行くなら、」
「…行かないです」
紫「え？」
言葉を遮り大きく息を吸う。
「私も、少し落ち着いたら帰ろうと思ってましたから」
紫「じゃあ、帰ろっか」
2人で教室を出ると、
大きな歓声が聞こえる体育館とは
別の方向に足を進め
次第にその声は遠ざかっていった。
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みう(プロフ) - こころさん» コメントありがとうございます^^今までの作品も読んでくださりとても嬉しいです、そして温かいお言葉の数々も嬉しい限りです(；；)これからも是非お付き合い頂けると幸いです。今作もご愛読ありがとうございました！ (2020年10月23日 23時) (
レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 完結おめでとうございます！みうさんの作品読んでます、いつも切ない感じで恋愛ってそんなに上手くはいかないもの、人の気持ちってそんなに簡単にいかないものって現実を見せられてる気がします。いつも素敵なお話ありがとうございます！また新作も楽しみにしてます！ (2020年10月23日 22時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みう
| 作成日時：2020年9月16日 17時
