とある森の妄想族(短編集) (ページ42)

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彼氏の特権(橙) ページ42

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照史～！プリンター壊れた！
照史～！外に蝉が居て外に出られない！

照史照史って、くだらないことでいつも電話してくるあいつとはもう何年の付き合いか数えるのも面倒なほど。
気付いたら俺の側にあいつが居て、気付いたらあいつの側に俺が居た。
それだけ。

「おっはよ...ってあれ？」
(あれ？照史、Aは一緒じゃないの？)
「あいつ、今日は課題が終わってないから早く行くって言うてたんやけど...」

朝教室に行くとおるはずの姿が見えなくて、なんだか嫌な予感がする。

「ちょっと探してくるわ。教授が来たら上手いことごまかしておいてや？」

普段ならこんなことはせんけど、嫌な予感がするときは大体当たんねん。
当たって欲しくないと願うけど。
大学内であいつが居そうな場所と言ったら食堂か、屋上か、空き教室か、自習室。
...でもどこを探してもおらんくて、電話も出ないし既読もつかん。

「何やってんねん、ほんっまに...」
もう一回探そうと舵を返した時だった。
朝は人通りの少ないサークル棟がふと頭に浮かんだ。

まさか、いやないだろう。
そう思っても、気になったもんはしゃあない。
さっと見て、戻ればいい。
ダンス、サッカー、バレー...端から探してもやっぱりいない。

「ほら、こんなとこにおらんって...」
最後に開けたのは、ヤリサーで有名なテニス。

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