死神の名付け親

不条理 ページ33

*＊


｢おれは...おれの都合のいい道具を作ったまで。おれは魔王にならなくちゃいけないんだ...｣


黒神くんが突然叫び出す。

でもそんなの...不条理だ。

そんなこと言うなら私の...私の苦しんでいた時間を返してよ。

そんなことできない。

そう思ったときじわっと目頭が熱くなった。


─パァン！─


｢なっ...！｣


いい加減目を覚ましなよ。

王座というおこがましい『物』にとりつかれていては駄目。

世界の理のために人を切り捨てる？

自分が王になるために罪無き人間を苦しめる？

そんなの...王がやることじゃ無い...


｢あ...あなたは王にはなれない。｣

｢お前っ！｣
｢相手の気持ちを考えることができない人が真(⋅)の王になれるわけないでしょう？｣


｢仮になれたとしても...あなたは本物の王には絶対になれない。｣


いや、なっちゃいけない。


そう言い残すと私はきびすを返して走り去った。


あんな人大嫌い＿＿。

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