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学校に着いた瞬間から、もう彼女が気を抜くのは許されない。
いや、実際はそこまで気を張る必要は無いのだと思う。
ただ……家ではあんなでも、中身はあらゆる事柄を叩き込まれた生粋のお嬢様だ。
きっと誰かに弱味を見せるのは、彼女のプライドが許さない。
「……福良」
「？はい、どうかされましたか」
Aは昔から完璧主義だからな……。
そんなことを考えていると、先程「行ってらっしゃいませ」と見送ったお嬢様がすぐ横まで戻ってきていた。
後部座席の扉を閉めて、改めて姿勢を整えると、彼女はちょいちょいと手でしゃがむよう指示してくる。
そういえば、このお嬢様は小学校から身長が止まったんだよな。
お陰で俺ともかなり身長差がある。
……恐らくだが、胸に栄養が吸いとられでもしているのだろう。
指示通り腰を折って動きを止めると、彼女は耳元にそっと口許を寄せて、ふふっと微笑んだ。
「行ってきます」
外で使うような堅苦しい口調ではない、崩れた言葉。
顔をお嬢様の方へ向けると、彼女は俺の影に隠れていることを良いことに、悪戯好きの子供のような笑顔を浮かべていた。
……本当に、この子は。
やることなすこと、全てが唐突すぎる。
まぁそれでこそ、うちの気分屋お嬢様に相応しいと思うけど。
「……ん、行ってらっしゃい。A」
満足げな笑顔を浮かべて校舎に向かっていく彼女の背中を、暫くの間見つめる。
背中からでも分かる、お嬢様としての威厳。
迷いの無い、堂々とした立ち振舞い。
でも、本当は。
他の子達と、立場なんて気にせず、仲良く遊びたいんじゃないのかな。
*
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「えぇ」
外でのAは、本当に隙が一ミリもない完璧人間だ。
財もあり、地位もあり、本人自身には完璧な容姿と学力、そして叩き込まれた礼儀作法が備わっている。
これだけ完璧であれば、そりゃあファンクラブの一つや二つ出来ても可笑しくはない。
今だって、校門の近くにはAのファンクラブらしき集団が少しでもAに近づこうとひしめき合っていた。
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白菜(プロフ) - あるてぃめっとさん» コメントありがとうございます！この作品のcssは自作ですね。フォントは『ほのか丸ゴシック』を使用させて頂いてます。参考にしていただければ幸いです！ (2021年3月30日 17時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
あるてぃめっと - こちらの作品でははじめまして（といっても覚えてないと思いますが…）今回も素敵な文章をありがとうございます。それともう1つ素敵なcssだなと思い…自作でしょうか？紹介がないので…もしよろしければ、使っているフォントを教えていただけないでしょうか？ (2021年3月30日 16時) (レス) id: 037db07d8a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Rukaさん» 私も書きながら「この関係性が尊いと思える感じにしたい」と思ってるので、そう言っていただけると嬉しいです！お嬢があんな子だからきっとこんな関係性が出来たんでしょうね。これからも彼らをほほえましい気持ちで見ていただけたら嬉しいです(笑) (2021年3月29日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - SALTさん» コメントありがとうございます！普段は文章詰め詰め野郎なので、今回の話は確かに読みやすいかもしれません(笑)応援ありがとうございます！ほんとにマイペースですが、これからもちょこちょこ更新していけれたらなと思います！ (2021年3月29日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - なんというか、お互い憎まれ口を叩きながらもお互いに好いているような関係が本当に好きです。お嬢はいつもこんなに暖かい空間にいるんだと思うと、なんだか微笑ましくなってしまいました笑 (2021年3月29日 16時) (レス) id: 323f90024b (このIDを非表示/違反報告)
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