酔った怪異にはご注意��/花子くん ページ4
『花子くーん』
Aが女子トイレの入口からひょいと顔を覗かせる。
しん、と静まり返ったそこにはとても花子くんがいるようには思えなかった。
『いなさそう...』
一つ目のトイレを確認し終わった瞬間、黒い何かが視界の隅で素早く動いた気がした。
『な、なに？？』
思わず声を出すが返事はない。
『花子くん...？』
なんだか薄気味悪いものを感じつつAは二つ目の個室を開けた。
ここにも花子くんはいない。
三つ目、最後の個室に手をかける。
ゆっくりと扉を開けた。
『わっ.....！？』
中から出てきた手に強い力で引っ張られる。
Aは体制を崩して、手を引っ張ってきた人物の胸に飛び込んでしまった。
そのままぎゅぅぅっと抱きしめられる。
冷たい腕の中で、お酒の匂いがした。
【つーかまーえたぁ！】
『......花子くん』
上を見ると、目が合った花子くんがにへっと笑う。
もしかしてさっきの黒い何かも花子くんだったのだろうか。
【くふふー、Aー】
花子くんがAにすりすりと頬ずりする。
普段からスキンシップは多いが今日は一段と甘えてくるような気がする。
Aはそれを微笑ましく思いつつも、花子くんを捕まえろという土籠からの用事を思い出した。
『花子くん、土籠先生のとこ行こう？』
密着してくる花子くんを引き剥がすため、胸を押す。
しかし花子くんは手を離さなかった。
それどころか更に抱きしめる力を強めてくる。
『どうしたの？』
【やだ】
『え？』
花子くんがぼそりと呟いた。
【Aとずっと、ここにいる】
『うーん...ここかぁ…』
Aはなんともいえない気持ちになる。
(トイレにずっといるのはなあ...)
【ねぇ...だめぇ？】
花子くんが酔いで潤んだ目をAに向けてきた。
小動物みたいで、許してしまいそうになる。
『...だめだよ、一緒に行くから外に出よう』
優しく告げると花子くんは下を向いて黙ってしまう。
すると、背後からカタン、とトイレの鍵が閉まる音がした。
『鍵、勝手に閉まって...』
花子くんは驚くAの顎を持ち上げてにんまり笑う。
【...怪異ってね。自分の支配する領域だとサイキョーなんだ】
【だからさ、ずっと一緒にいれるよ。A】
『え...ちょっと、近い...！』
熱っぽい花子くんの視線に、Aは自分まで酔ってしまいそうだった。
数時間後、寝こける花子くんと真っ赤な顔のAがトイレから発見されたそう。
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若葉 - かんわゆい (2020年3月9日 18時) (
レス) id: 4dface175c (このIDを非表示/違反報告)
花っち - 光くん好き。 (2019年10月11日 17時) (レス) id: a210479166 (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - まるさん» いえいえー！お気遣いありがとうございます。頑張りますね！ (2019年4月8日 13時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
まる - 本当ですか！？とっ…ても楽しみです！気長にまってますので、はのさんの無理のない範囲で執筆して頂けたら嬉しいです…！よろしくお願いします〜！ (2019年4月6日 20時) (レス) id: cb47adc666 (このIDを非表示/違反報告)
はの(プロフ) - まるさん» コメントとリクエストありがとうございます。そう言って貰えるととっても嬉しいです！了解しました。タイトルの方にまるさんのお名前を書かせていただきます。予めご了承ください。 (2019年4月5日 7時) (レス) id: f5fc6d41da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はの | 作成日時：2019年3月22日 23時
