急な求婚には裏がない ページ5
「A、結婚しよう」
「え……」
万事屋銀ちゃんの居間で、桂小太郎はそんなことを口走った。
「なに言い出してるアルかこのムッツリスケベ!!」
ちょうど買い出しから帰ってきた神楽が入り口から桂にドロップキックをかました。
「A! 今のアイツの話は忘れるネ!」
「あ、うん……」
「何してんだ神楽。買ったもんグチャグチャになるじゃねーか……って、何してんだよヅラ。俺らAに留守番頼んでたんだけど何でお前いんの」
「途中から合流しましたけど、アンタ客人に留守番させてたんですか」
神楽に続いて同じく買い出しに行っていた銀時と、途中で合流した新八が帰ってきた。
「銀ちゃんお帰り、桂さんがお菓子持ってきてくれたの」
「あ? 菓子? 何で」
銀時が不思議そうにしていると気絶していた桂が起き上がり、Aの隣に座った。
「お父さん、Aさんを僕にくださ」
「死ねヅラァアア!!」
銀時は最後まで聞かず桂の頭を掴んで地面に叩きつけた。
「ちょ、ちょっと銀ちゃん!」
「いや、というか何で桂さんがその話を銀さんにしてるんですか」
新八がツッコミ、桂は顔に血を流しながら説明した。
「Aが以前、銀時をお父さんみたいと言っていたからな。挨拶するには銀時がいいだろうと」
「お、お父さん!? Aちゃん、それほんと?」
銀時は何だか悲しそうに口角を引つらせてAに問うた。
「え、うん……前に信女さんに、お父さん代わりになる人といえば誰ですかって聞かれたので」
「何であいつそんなこと」
「そういえばその女もAに求婚していたな」
「あの野郎」
銀時がワナワナしていると、玄関のインターホンがなった。新八が見に行くと信女が来ており、家に上がってドーナツを銀時に渡した。
「お父さん、Aさんを私にくださ」
「お前女だろうがァア!!!」
銀時は丁重にドーナツを押し付け返した。
「つか俺はAの父親じゃねぇ!」
「でも結婚の挨拶は父親分の方にすべきだと思いまして」
「まず結婚の挨拶ってところがおかしいの! ていうかその役割なら完全に兄貴分の戦だろうが!」
「……あの人は、ちょっと面倒くさいので」
信女は戦を思い出して目をそらした。
「の、信女さんありがとう。前も言ったように私はまだ結婚は考えてないというか……その、ドーナツ一緒に食べませんか?」
Aは信女の持ってきたドーナツを見て提案する。信女は嬉しそうにして何度か頷いた。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2021年2月13日 22時