バズーカ砲真っ二つ 一 ページ3
ドガァァアアン!!!
平和な町に響き渡る爆発音。栗色の髪をした少年が、焦げ茶に近い赤髪の青年に向かってバズーカを放っていた。
「いい加減、鬱陶しいでさァ。アンタよく飽きねぇーな」
少年、沖田総悟は青年に向かって呆れた声でいう。このA戦という青年は飽きもせず毎日、喧嘩をふっかけてくる。
幸いこの場は人があまりいないところで被害といえば建物くらいである。
「楽しんだよ!お前と戦うの!」
「いや、アンタ誰とでも殴り合ってんじゃないですか。それよりAはどこですかィ」
「ああ、Aならもうすぐ」
戦が何か言おうとすると上空が光り、上から降ってきたAが戦に強烈な飛び蹴りを食らわせた。
「ぐぼぇあ!?」
「お兄ちゃんまた沖田さんに迷惑掛けてるでしょ!! いい加減やめてよ!」
「おーさすがAですねィ」
Aに蹴られた戦は吹っ飛び、遠くの壁に突き刺さった。
「沖田さんごめんなさい、いつも私の兄が」
「ふーん……申し訳なく思ってるんだったら、俺と戦いやせんか?」
「え? あ、えっと、いいですけど」
「アンタとも……というか本来はアンタと戦いたかったんですよねィ。武器はこれ使ってくだせェ」
沖田はそう言って自分の剣とは別の真剣をAに渡す。
「え、新選組の方は大丈夫ですけど私の場合、廃刀令は」
「細かいこたいいでさァ、俺が色々揉み消しとくんで」
「いや駄目ですよねそれ!」
Aのツッコミも虚しく沖田は剣を抜き、すぐさま距離を詰めて斬りかかってきた。
彼女はそれを鞘で防ぎ、沖田を押し離して抜刀する。
「なんでこう私の周りの人は血気盛んなんですか」
「それほどアンタの強さに興味があるって、ことでさァ!」
刃のかち合う甲高い音が連続して響き渡る。二人は攻防しながら言葉を絶えず交わしていた。
「沖田さんって、私の強さに興味があるんですかっ?」
「別にそれだけじゃないですけどねィ」
「他に何か?」
「だって姐さん可愛いじゃないですかィ。だから、そばにいんでさァ」
「なっ……」
沖田に可愛いと言われてAは顔を赤くする。普段の会話のようにサラッと言われてしまえば、不意を突かれて動揺で意識がそれる。
「姐さん隙だらけですぜ」
「っ!?」
彼の強い蹴りがAの腹部に入り、吹き飛ばされる。こういうとき、彼はあまり手加減をしないのである。
「……す、好きな人にも全力なんですね」
Aは痛みに眉を寄せて体勢を立て直す。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2021年2月13日 22時