好きな人に集る男を嫌いになるのは人の性 五 ページ46
「てめーの動きも読めてんだよ!!」
土方は背後に回った北大路に大きな一太刀を入れるが、北大路はそれを予期して、さらに彼の背後に降りた。
「勘が良すぎるんだよ貴様は」
北大路が一撃放ち、ドゴッと鈍い音が鳴って土方は吹っ飛ばされた。
「ぶっ」
「トシぃぃぃ!!」
「土方さん!」
土方は口から血を吐き、近藤とAは焦って名を叫んだ。
吹っ飛ばされるが土方の皿はまだ割れていない。
「体をひねって皿への直撃を避けたか。本当に大した直感力だ。しかしそれが貴様の命取り」
「まずい。あの男トシの癖をあの短時間で見抜いた」
近藤は驚き焦ったように言葉を発し、それに新八が怪訝そうにした。
「クセ……?土方さんにもそんなものが」
「誰にでも癖はあるよ。ただ今回の場合、土方さんの癖と相手の北大路君の技能の相性が悪すぎる……」
土方は直感力に秀でているが、その長所が時には癖として弱点になってしまう。
真選組の得意な真剣での立ち合いにおいて相手の一撃を受けることは、死を表す。
死を避けても深傷を負えば死に直結する。
「俺たちに求められるのは危機察知能力の直感。昔から最前線で戦ってきたトシは誰よりもその能力に長ける。だが……」
「北大路君は敵を斬るより、敵の意表を突いて一本取る類の道場剣術。土方さんの尋常じゃない勘の良さが仇になる」
さらに土方が腹の前に抱える皿は大きく、普段より過敏に反応せざるを得ない。
「あの男は攻防を自在に転じ、それに反応したトシの隙を突いている。攻めると見せて引き、引いたと見せて攻める」
土方は北大路から猛攻を受けて全て刀で受け止めているが、受け止めているだけである。
北大路の行動を予期して回るも、背後に迫られ下から顎に一撃を受け打ち上げられて川に落ちてしまった。
「奴は無数の擬餌を、無意識で反応してしまうギリギリのレベルで繰り出している」
「北大路君は確かに、道場剣術の達人です。人の心も自分の心さえも自在に操る……」
Aは一撃打たれた土方の身を案じ、不安げな表情を浮かべ両手を握った。
北大路は川に沈んだ土方を見下ろし口を開く。
「道場試合であればもう何本取ったことか。いや、貴様の得意な実践であっても既に命はないだろう」
北大路は離れた部屋にいるAに視線を移した。
「良い加減、諦めろ。彼女にあんな顔をさせてまで意地を張る気か」
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刹那*桜(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!! (2022年12月27日 20時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメ失礼します!! めっちゃ面白いです!! これからも頑張ってください! (2022年12月26日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - あたりんさん» ありがとうございます!! (2022年11月20日 0時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年11月14日 16時) (レス) id: c0f0373936 (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - 花香さん» コメントありがとうございます!9個もあって長いですなか一気に読んでいただきありがとうございます!!わりと読みづらい所もあるかと思いますが好みと言ってもらえてとても嬉しいです!!(;ω;) (2022年11月7日 23時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年11月7日 0時