【銀魂】シスコンな兄の尻拭い９ 【柳生篇】

チンパンジーは馬鹿だが器用だから油断はするな　六 ページ40

「貴様は強い。だが、重りを二つも引きずっていては万全の力は出せまい」

　西野が沖田と神楽を見るが、戦はあまり二人を気にした様子はない。

「ケッ、俺ァはなから重りなんてモン抱える気はねーよ。オイそこの二人。戦えんなら戦え。逃げるのは許さねーぞ」

(西野のヤローは二人を狙うだろうからそもそも逃げるのは厳しいが……)

　戦は二人をこの場から離せないかと考えていた。
　しかし、神楽と沖田がフッと笑う。

「冗談じゃないアル。チンパンジーに手柄横取りされてたまるかヨ」
「どの道、敵さんは逃がしてくれねーでしょうし。アンタの活躍シーン全部潰してやりまさァ」
「……実はお前らガキ同士 相性いいだろ」

　戦は小生意気な言い種の二人に呆れるが、笑って二人の前に出る。

「ちょっとばかしの支援はしてやらァ。だが自分(てめー)の身は自分(てめー)で守れよ」
『言われなくても！！』
「くっ！」

　戦が前に踏み出し西野に斬りかかる。
　西野は攻撃を受け止めるが、その隙に神楽に肩車された沖田が背後に周り攻撃を仕掛けた。

「所詮は怪我人！！甘いわァァ！！」
「ッ！」
『！！』

　西野は刀で戦を薙ぎ払い吹っ飛ばす。
　その勢いのまま転回して沖田に刀を振るった。

「ぐっ！！」

　強い一撃は受け止めた沖田だけでなく神楽にまで伝わって来て彼女は顔を歪めた。

「ッ、チャイナ耐えろ！」
「わかってるネ！！でもッ」

　沖田が押し返そうとすればするほど自重が神楽に掛かってしまう。
　二人は西野に押し切られそうになる。
　が、後ろから戦が西野に足払いをかけて体勢を崩した。

「！」
「うおっと」

　刀で押し合っていた沖田もバランスを崩すが神楽が支える。

「二人に構ってたら殺られるぜデカブツ」
「フン、護りながらの攻防となればそれが貴様の弱点となるぞ」
「さァて、それはどうかな」

　西野が勝ち誇ったように笑えば、戦は不敵な笑みを返した。

　西野と戦の剣戟が再開し、それに神楽と沖田の攻撃が合わさる。
　西野は神楽と沖田を優先して攻撃し、二人が不利になる度に戦が援護に入った。

　ここまでは西野の言う通り二人が重荷になって戦はまともに戦えないように見える。

　が、しかしその中でも彼は確実に西野に重く正確な一撃を何度も放っている。

「ッ！」

　西野は顔の横を切られ、額の皿を狙う突きを防ぎ右腕を負傷した。
　しかもそれらは戦の攻撃ではなく、沖田の二撃だった。

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