好きな人には知られたくない姿を隠しているもの ページ25
「まったく……おぬしは相変わらず賭場の男どもを騒がせおるのう。客間まで連れて行くのに苦労するわ」
パチッと軽い音を鳴らして、青い髪に赤い瞳、長い耳を持った美女が麻雀の牌を捨てる。
「な、何かごめんなさい。自分でもよく分からないんですよ」
Aは苦笑いして謝り、牌を捨てた。
彼女が対峙するのは、美貌から『
三大傭兵部族の一つ、辰羅族であり、かぶき町四天王の一人でもある。
華陀はかぶき町で巨大なカジノを運営しており、かぶき町の賭場を仕切る女豹とまで言われている。
Aはそんな彼女と彼女の仲間二人で雀卓を囲み麻雀をしていた。
おそらく誰が見ても驚愕する状況だろう。
華陀はAに気を許しており、こうして一緒に遊ぶ仲である。
しかしAを連れてくると毎回、賭場の男どもが騒ぎ出すので華陀は頭を悩ませていた。
「でも華陀様だって綺麗じゃないですか」
「おぬし煽っておるのか?」
「なんでっ!?」
普通に褒めただけなのに、とAは勝手にしょげていた。
「ちょっとギャンブルにのめり込みすぎるところはありますけど……私は華陀様が好きですよ」
Aは頬杖をついて、牌を人差し指と中指で挟み華陀を見つめる。
少し不敵な笑みが色気を帯び扇状的で、華陀の仲間二人は唾を飲んだ。
「……」
華陀は黙って、一つ息を吐いた。
「それは……おぬしが
いや、と華陀は言葉を続けた。
「妾がおぬしに黒い部分を見せていないだけ――見せたくないだけか」
「華陀様……?」
華陀は伏し目がちに言い、Aが心配そうに彼女を見つめた。
「おぬしは、知らなくていいことじゃ」
パチッと牌を捨てて、華陀は胸に下がる重りを振り捨てた。
デカい犬に頭から食われる経験はそうそう得られない 一→←好みが被ると余計な争い増えるから、頼むから違うものを好きになれ 二 終
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年10月2日 5時