記憶喪失なんてモンは治さなくても都合よく教えればいいのさ 三 ページ21
退院したAは銀時たちに連れられて万事屋銀ちゃんの前に来た。
「私はここに住んでいたんですね」
「銀さんの何でも屋なんですけどAさんは本職が別にあって、ここで銀さんと神楽ちゃんと同居してるんです」
「あれ、志村さんは一緒に暮らしてないんですか?」
「……あ、えっと。僕は姉上と一緒に実家で暮らしてるので」
Aの呼び方がよそよそしく感じて慣れず、新八は寂しい思いに駆られた。
少し間が空いて、彼は笑顔が若干強ばりながらも答えた。
「……なあA」
新八の様子に、銀時はAを見て口を開いた。
「記憶がなくて思い出せねーかもしれねェけど……このメガネの新八はただのツッコミ人間だし、このチャイナ娘の神楽は怪力ゴリラだ。名前に敬称なんか付けなくていーし、馴れ馴れしく話していい相手なんだぜ」
神楽と新八は、銀時の発言に目を見開いた。
そして二人とも、嬉しそうにフッと笑う。
「ついでにこの天パは何でも屋やってるけど、ほぼプー太郎アル。家賃も払わずグータラしてる奴ネ。そんな奴にこそ敬称なんて必要ないアル」
「俺そこまでお前らを悪く言ってねーぞ!?」
「でも事実ですよ」
「事実じゃねーし!先月の家賃は払ったもん!」
「なにが『もん』じゃ!そりゃテメーじゃなくてAが代わりに全額払ったやつだろーが!」
「Aサン、坂田サンガ滞納シタ分モ支払ッタラシイジャナイデスカ。ナニヤッテンダコノニートガ」
「ニートじゃねーし!働いてるしィ!?」
「じゃあ毎月きっちり支払えやァ!」
銀時を的にして神楽と新八、お登勢とキャサリンが騒ぎ出す。
「……プッ、あはははっ!」
『!』
Aはそれが面白くて、つい声を上げて笑ってしまった。
先ほどから彼女はずっと他人行儀で、どこか距離を置かれていたため全員が驚いていた。
「ご、ごめんなさい。なんか面白くて。ふふっ」
彼女の笑顔に銀時はフッと笑う。
「忘れられよーが、お前の笑顔見ると安心するわ」
「!……私、なんとか思い出したいです」
Aは銀時たちの自分を見る目が温かく感じて、忘れてしまったことに罪悪感と虚しさを覚えた。
「あなた方との温かい日々を、思い出したい」
「……なら、江戸の町をぶらりと回ってきな」
彼女の真剣な眼差しを見て、お登勢が提案した。
「アンタはこの町じゃ有名な星だ。誰が噂せずとも、自然と誰でもアンタのことを見て、想う。思い出すきっかけなんてそこら中に転がってるさ」
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時