オカマは男のバカさも女のズルさも知っている 五 ページ36
「まあそういうことがあって、私たちはAちゃんにずっと助けられてきてるのよ。だから、あの子に危害を加える奴らは全員、力づくで捻じ伏せることになってるの」
あなた達も何かしたらただじゃおかないからね、とあずみは笑いながらも低い声で言った。
その後、何やかんやあって銀時たちは西郷の息子てる彦と出会った。
一度別れた てる彦は、いじめっ子に父親を馬鹿にされ、度胸試しとしてとある建物の中に入ったまま出てこなくなった。
その建物は、ハタ皇子が自分のペットのために空いていた武家屋敷を買い取ったものだった。
銀時と桂は、てる彦を助けるために建物に侵入し、たまたまハタ皇子と出会ったのだが
『ギャオオス』
ハタ皇子のペットことポチというのは、下に犬の可愛らしい擬態をつけたツノのある巨大なバケモノだった。
『ギャアアア!!』
銀時たちはそのポチに捕まり、地面に埋められて生首状態で動けなくなってしまった。
銀時のウィッグがずれていていつもの彼が垣間見えている。
どうやらポチは餌を保管するとき地面に埋めるらしい。
悲鳴を聞いて、外にいたいじめっ子が慌ててどこかに走って行った。
銀時と桂が埋められているところにてる彦がきた。
「……ごめん、僕のせいで」
てる彦は泣きながら銀時の埋まる穴を手で掘り起こそうとしていた。
彼は父親を馬鹿にされて悔しかったと、誰よりも強く誰よりも心がキレイな父を誰も見ようとしない、と嘆いて。
てる彦の後ろの木々の奥から唸りのような鳴き声が聞こえて、ポチが姿を現した。
しかし、てる彦は手で掘り続ける。
「オイオイこっち来てんぞ!! もういい! 俺たちは良いからお前だけでも逃げろ。テメーまでおっ死ぬぞ! オイきーてんのか!!」
銀時は言っても止めないてる彦に焦って声を荒らげる。
「うるさい! 僕は男だ! 絶対に逃げない!!」
「そんな事を言ってる場合か! 早く……!!」
桂も声を上げるが、すぐそばまでポチが迫ってきていた。
ポチが踏み込み、口を開けて てる彦に食らいつこうとする。
『逃げろォォォ!!』
銀時と桂は歯を食いしばり、「ふんごォォォ!」と唸って何とか穴から這い上がろうとする。
てる彦は食われる恐怖に頭を両手で抱える。
しかし、痛みは襲ってこず
「!」
「俺は男だって……?」
『知ってるよ、んなこたァ』
銀時と桂が互いに片手だけ出して、ポチの両角を掴んでいた。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年8月29日 18時