オカマは男のバカさも女のズルさも知っている 四 ページ35
「以前うちの店で、揉め事があってね。さっきみたいにママが力で対応したら、相手が悪くて、役人だったの。その時に仲裁してくれたのがAちゃんなのよ」
以前かまっ娘倶楽部であった出来事と、Aとの出会いの話をした。
当時、西郷の行動で役人と乱闘騒ぎになったとか。
そこにいたAが乱闘を止め、役人を説得し西郷と話をつけて事を収めたのだという。
「その時の乱闘の止め方がねェ」
「何かあったのか?」
あずみが思い出して少し複雑そうにし、桂は不思議がって尋ねた。
「あの子ねェ……乱闘を止めるとき役人の刀を素手で掴んで、もう片方の手でママの拳を受け止めてたのよ」
『ハァ!?』
素手で刀を受け止めたと聞いて銀時と桂は同時に声を上げる。
「手から血が出るのも気にしてなくて、ホントあの時はまだ面識のなかった私たちですら心配したのよ」
役人の方も全員驚いて心配していたらしい。
Aの血を見て全員、一気に戦意を失ったとか。
「その場は収まったけど、役人連中たちがウチの物資供給網を絶ったり営業妨害したり嫌がらせが凄くてね。ママが動こうにも、かぶき町四天王といえヘタに騒ぐと店が潰れかねなかったの」
「なるほど……幕府の役人ともなれば、力で解決できないものも出てくるわけか」
桂は不愉快そうに眉を寄せる。
「嫌がらせに気づいたAちゃんが首謀者と仲間を小突いて失墜させたことで私たちは助かったのよ」
それ以降、Aがかまっ娘倶楽部付近の経営監視権限を得たらしい。
役人の監視という名目で物資の配達役をかって出て、かまっ娘倶楽部を支援しているのだとか。
「『監視役』なんて名目だから私たちから毛嫌いされると思ってたらしくて、最初はあんまりあの子から近づいてくることはなかったわ。でも私たちからすれば、店の経営を守ってくれて物資も届けてくれる。大助かりだからっていうのをママが伝えてから打ち解けて仲良くなってね」
懐かしいわー、とあずみは思い出にふける。
「私たちを庇ったせいでAちゃんは降格処分を食らったらしいけど」
「おいおい、アイツ他人を守るために自分の立場危うくしてんのかよ」
「Aらしいといえばそれまでだがな」
銀時は呆れた様子でため息をつき、桂はフッと笑う。
「あら、あなた達あの子の知り合いなの?」
「まあな」
「幼馴染というやつだ」
「ああ……だからその姿の顔を見られるの嫌がってたのね」
あずみは ふふっと笑った。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年8月29日 18時