オカマは男のバカさも女のズルさも知っている ニ ページ33
「あ、新人さんですか？」
「そういやAはヅラ子に会うのも初めてか。銀髪の方はさっき入ったばかりよ」
西郷がAに説明する。
「お二人とも何だかどこかで見たことが……」
先ほど顔がチラッと見えたのか、Aは少し気になったように言う。
すると、背を向けていた二人がバッと振り返った。
二人とも少女漫画かのように目をキラキラさせていて。
「そ、そんなわけないわよ〜。あなたみたいな宇宙の生物で一番可愛いような子、パー子初めて会うわ〜」
「私もよー。あなたみたいな愛らしい子に会ったらオカマの私ですら惚れちゃって頭から離れなくなっちゃうわよ」
「そ、そうですか……」
銀時と桂は笑顔を少しひきつらせながら誤魔化す。
二人とも彼女を好いているからか大袈裟に褒めていて。
Aはなぜか突然褒めちぎってくる二人に戸惑い、『なんかめっちゃ褒めてくる怖い』と内心思って若干怖がりながら返した。
「えっと、初めまして。AAと申します」
――知ってますゥゥ！！ 知りすぎちゃってますゥ！ こっちは知られたくないですゥゥ！！バレないでェ！！
Aが名乗ってお辞儀をすれば、銀時たちは冷や汗をかき目を伏せて悶えた。
「A、こっちの黒髪はヅラ子でそっちの天パがパー子よ」
「私はいつもここに物資の配達をしている者です。よろしくお願いしますね、ヅラ子さん、パー子さんっ」
西郷が紹介すればAはにっこり笑って。
『よ、よろしくねェ〜』
二人は何とか目の輝きを維持しつつ引きつった笑顔で応えた。
「何だかお二人、私の幼馴染にとても似ていると思ったんですが」
彼女の発言に二人はビクッと反応する。
「でもまあ、パー子さんと違ってあの人目が死んでますし、ヅラ子さんは素敵なお姿似合っていて私の知り合いとは思えないので思い過ごしですねっ」
――Aちゃーん？後で一発はたいてやるぞコラ
銀時は目が死んでいると言われて笑いながら後でこらしめようと思って
――Aに女子姿が似合っていると言われるのは何だかモヤモヤするな……
桂は少し複雑な心境を抱いていた。
西郷が両手を叩いてその場を仕切る。
「二人はさっさと舞台に上がって踊りなさい。パー子の初仕事だから、Aも良かったら見てきな」
「いいんですか？ではお言葉に甘えてっ」
嬉しそうにするAの横で銀時たちは、長居されて彼女にバレたくないのか、余計なことするなと心の中で叫んでいた。
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2022年8月29日 18時
