今の世の中は血の繋がりがなくたって家族を名乗れるものらしい 一 ページ20
「撃て」
源外の指示で球が放たれ、煙幕が広がる。
そこら中に混乱と悲鳴が湧き人々が散開していく。
「どうして……」
煙幕にまみれ土方が指示を叫ぶ中、Aは動揺していた。
真選組がヤグラの守りを固めようとするが、その周りをカラクリたちが囲んだ。
「客は逃げたな。よし行けェェ!思う存分暴れてやれェェ!!」
源外の一声で戦いの火蓋が切られる。
近藤も抜刀し、カラクリと真選組の討ち合いが始まった。
――
人々が逃げ惑うなか銀時は背を向ける形で、刀の刃を見せる高杉と対峙していた。
高杉は昔の義勇軍だった鬼兵隊と、三郎の話をして聞かせた。
「過去から目ェ逸らしてのうのうと生きているてめーに、牙をなくした今のてめーに俺達の気持ちは分かるまいよ」
言い終えた高杉の足元に、血が滴り落ちた。
「!!」
「高杉よ、みくびってもらっちゃ困るぜ。獣くらい、俺だって飼ってる」
ミシミシと音を立てて銀時の手が高杉の刀を掴んでいた。
滴る血は高杉のものではなく、銀時のものだった。
彼は素手で刃物を掴んでいるにも関わらず、その力が強く高杉は刀を動かせずにいた。
「俺が飼ってる獣は白い奴でな。え?名前?」
銀時は振り返って笑う。
「定春ってんだ」
フッと笑って身をひるがえし高杉から離れてその場を去った。
真選組が機械に応戦し、近藤は刀が折れて嘆いていた。そこに沖田と神楽が参戦する。
二人は祭りを邪魔されて怒っているのか、次々と機械を破壊していった。
「あ、あれは妖怪『祭囃子』だ!! 祭りの神が降臨なされたぞ!! 勝利は我らの手にあり!!」
二人を妖怪『祭囃子』と呼んで若干ふざけていた近藤だったが、後ろに数体の機械が群がった。
「近藤さん後ろ!!」
「え?」
振り返った近藤の前に無数の砲台が向けられる。
彼はとっさに目を瞑るが、痛みの代わりに、鉄のかち合う甲高い音が聞こえた。
近藤が目を開ければ、目の前の機械は真っ二つに切られていて、小刀を手にしたAが少し暗い顔をして立っていた。
彼女の背後から機械が何体も襲ってくる。
Aは即座に振り返り小刀を振るった。
その一撃で、十体以上もの機械が裂けていく。
近くの個体だけでなく、数台挟んで直接斬撃が届いていないはずの奥の個体までも、衝撃で破壊されていた。
「こ、これは……勝利は確実に我らの手にある、な……」
近藤は驚愕と共に、少し引きつった笑みを浮かべて言った。
今の世の中は血の繋がりがなくたって家族を名乗れるものらしい 二→←屋台で買って食べ歩きするなら人混みの中は気をつけろ 七 終
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年8月29日 18時