子は母の腕で泣く 一 ページ46
花魁は名ばかりのただの飾り。
鳳仙は日輪を客寄せパンダとして使う以外は部屋に閉じ込め、客も取らせず一切の自由を認めない。
「
「それでも君はここに来た。日輪が君を護るために長年耐えてきた辛苦も覚悟も無駄にして、危険を冒してまで君は彼女に会いに来た」
「君にも君の覚悟があるんだろう。ここから先は君の仕事だよ」
晴太は部屋の前に来て、錠前板に手をかける。
「帰りな」
部屋の奥から女性の声がした。
「ここにアンタの求めるものなんてありゃしないよ。帰りな」
「かっ……母ちゃん!母ちゃんなのか!」
晴太は急いで錠前板を外すが扉は開かず、扉を叩いた。
「開けてくれよ!オイラだよ!わかってんだろ。アンタの息子の晴太だよ!」
「私に息子なんていやしないよ。アンタみたいな汚いガキ知りゃしない」
「何で汚いガキって知ってるんだよ。見てたんだろ。オイラがいっつも下からアンタを見てた時、アンタもオイラのこと見てたんだろ」
「何度叫んでも答えてくれなかったけど、本当はオイラを巻き込むまいと必死に声が出そうになるのを我慢してたんだろ!」
晴太が声を上げて訴えるが、部屋から声は返ってこない。
「オイラ……何にも知らなかった。何にもわかっちゃいなかった。母ちゃんが、ずっとオイラのこと護ってくれていたなんて……今度は、オイラの番だ」
晴太は部屋の扉に向かって突進し始めた。
「今度はオイラが、母ちゃんを吉原から救い出す!!今度はオイラが、母ちゃんを護る!!だから母ちゃん!ここを開けてくれ!!」
ドンドンと勢いよくぶつかり続けながら晴太は声を上げた。
中にいる日輪は額から汗を流して歯を食いしばった。
「お願いだ母ちゃん!かっ」
「やめとくれ!」
「かっ、母ちゃん……」
「アンタの母ちゃんなんてここにはいない、そう言っているだろ」
「そんなに会いたくば会わせてやろう……このわしが」
後ろから声が聞こえて晴太が振り返れば、そこには鳳仙がいた。
「ほっ、鳳仙……!!」
「あちゃー見つかっちゃった」
神威は笑いながら頭を掻いた。
「連れて行くなら連れて行け。童、それがお前の母親だ」
鳳仙はそう言って、女性の黒い髪の束を床に放った。
「お前の母親は日輪ではない。とうの昔に死んでこの世におらんわ」
彼の言葉を聞いて晴太は目を見開いた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時