星の数ほどいるバケモノの王 五 ページ36
神楽の足は阿伏兎を殺すことはなく、彼の顔の横で屋根に亀裂を生んでいた。
見れば後ろから新八が神楽を抑え込んでいて。
「……何の真似だ」
「お前のためじゃない。銀さんと……約束したんだ。神楽ちゃんは僕が護る。僕らが信じる神楽ちゃんを、護るんだ!」
「夜兎でもイカれた兄貴の妹でもない。ぶっきらぼうで生意気で大喰らいで、でもとっても優しい女の子。僕らの……大切な仲間を護るんだ!」
新八が汗を流して必死に押さえ目を覚まさせようとするが、神楽がグッと新八を押し離す。
「!」
彼女は拳を握って新八に勢いよくそれを振おうとした。
パァンと強烈な音が鳴り響く。
『!!』
新八と阿伏兎が目を見開く。
神楽の拳は
星影によって受け止められていた。
「ほ、星影さん!!」
「お待たせ、少年」
新八から名前を呼ばれ、星影は神楽の拳を掴みながら微笑んだ。
(おいおい、覚醒した夜兎の拳を受け止めるなんざ何つー力……しかも絶対的な余裕を持ってやがる)
阿伏兎が汗を流していると、神楽が星影に向かって蹴りを入れた。
「おっと」
「うぉわ!?」
星影は神楽の拳を離して蹴りを避け、後ろにいた新八を抱き上げて離れた場所にやる。
「ちょっと待っててね。すぐに終わるから」
「ま、待ってください!!神楽ちゃん暴走してるみたいで、理性もなくて戦えばかなり危険な状態なんです!」
「うん。そうみたいだね」
「そうみたいだねって……夜兎ですよ!?死ぬかもしれない」
「大丈夫だよ」
星影は新八を見て口元に笑みを浮かべた。
「あの子に人は殺させない。そう……約束したから」
地を蹴り神楽のもとに行く。
彼女が殴打や蹴りを放ってくるが、星影はそれを避け、いなし続ける。
突風が吹き荒れ足場の屋根はめり込み破壊され激戦が繰り広げられていた。
(コイツ……やはり人間じゃないな)
阿伏兎は星影の戦いを見て眉を寄せた
(いったいどこの天人だ。夜兎、
考えにふける阿伏兎の耳に大きな衝撃音が響いて、彼の方に星影が吹っ飛ばされてきた。
「星影さん!!」
新八が焦って叫び、土煙を払って星影は立ち上がる。
「イッタタタ……うーんさすがにやっぱり手強いな」
口から流れる血を拭い、打撃を受けた右腕をさする。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時