月夜に歌を詠む 四 ページ27
「それが終わったらすぐ帰るよ。あの人みたいな強い奴がいないならこんなとこ、つまんないからね」
「……股間蹴られてもまた闘いたくなるもんかねェ」
「ああ……アレね。凄く痛かったよ。あの人、腕の骨は折らないくせに股間は本気で蹴ってきたんだもん。一瞬男としての俺が死ぬかと思ったよ」
神威は発言の割に上機嫌でニコニコと笑っていた。
阿伏兎は若干、引いた目で額から汗を流す。
「アンタの今の状況、生粋のMにしか見えねーよ」
「そーかな?俺はあの人、組み伏せてみたいけど」
スッと少し開かれた神威の瞳は、獲物を狙う獣のように妖艶に光る。
「あの女、どんな顔で鳴くんだろうね」
楽しみだよ、と神威は期待の眼差しで吉原の風景を眺める。
阿伏兎は彼の様子に驚いて目を見開いた。
普段の彼なら、期待するのは女との営みではなく、その女との間に産まれる子供の強さである。
そんな彼が、女の事を気にしてわずかでも執着を見せている。
(
阿伏兎は立ち上がって部屋を出て行こうとする。
「どこいくんだよ阿伏兎。一緒に星影サン探してよ」
「こっちはこっちでやることがあるんだよ。このまま鳳仙に貸しつくったまんま帰れねェ。我々、下々の者は団長様の尻拭い、いや……海賊王への道を切り拓きにでも行くとしまさァ」
阿伏兎は笑って部屋を出ていき、神威はニコニコとして見送った。
ーー
屋敷の入り口には爆煙が広がり、百華たちは悪化した視界に身動きを取れずにいた。
「これは……
「舐めたマネを!女は斬れぬとでも申すか奴ら」
「あそこだ!あそこにいるぞ!追えェェェ!!」
逃げた銀時たちを百華が発見して追い、銀時は舌打ちしてまた煙玉を投げつけた。
「早く行け!!」
銀時が神楽たちを先に行かせようとするが、煙の中からクナイが何本も飛んできて慌ててしゃがみ避ける。
別方向からも百華が来て神楽達が応戦し始めた。
「ダメだ!埒が開かない!いくらでも出てきます」
「くそ!!こんなことしてる間に晴太が!」
三人は逃げながら戦うが、月詠が階段の前で立ち止まった。
「ここでしばらく食い止める。先に行きなんし」
「月詠さん!」
「お前死ぬ気アルか」
「部下の躾は頭がするさ」
「……」
銀時は月詠の言葉を聞いて少し黙った
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時