吉原第二席に鎮座する戦乙女 六 ページ17
吉原の街を歩きながら、星海坊主の息子、神楽の兄――神威は顔に巻いていた包帯を外した。
彼は若くして、春雨の雷槍と恐れられる最強の部隊・第七師団の団長に登り詰めた男である。
(まだ痺れるな)
星影と戦った際の腕の麻痺がまだ残っていて右腕を見つめる。
(早くまた戦いたいなァ)
神威は口元を綻ばせ、吉原の中心の建物へと入っていった。
「これはこれは珍しいご客人で。春雨が第七師団長、神威殿」
一室で、鳳仙の前に座す神威は桶ごと飯を食らっていた。
「んーやっぱり地球のゴハンは美味しいネ。鳳仙の旦那」
ニコニコ笑って言うが、利き手の右手で桶を支えて左手で少しぎこちなくご飯を食べていた。
「……その腕、どうかなさったのか」
「あー、コレ。ちょっとオモシロイ女みつけてね」
「ほう?あの団長も、吉原の遊びを享受しているか」
「いや。まだあの人の裸は見れてないな」
神威は星影の顔を思い返して
(うん。悪くないかな、アレと子供作るのも)
そんなことを思いながら頭を切り替える。
「にしても旦那、ズルいですよ。第七師団を作って面倒くさい事を全部俺に押し付けて、自分だけこんな所で悠々自適に隠居生活なんて」
「人は老いれば身も
「いえ、分かりますよ」
「ほう。しばらく会わぬうちに飯以外の味も覚えたか。クク……酒か?女か?上玉を用意してやる、言え」
「じゃあ……」
神威は笑顔で人差し指を立てた。
「日輪と一発ヤラせてください」
ピタ、と鳳仙の動きが止まった。
「手土産も用意してあるんですよ」
親指で後ろを指せば、先ほどの渋顔の男、阿伏兎が捕縛した晴太を連れていた。
しかし鳳仙は何も言わない。
「嫌ですか、日輪を誰かに汚されるのは。嫌ですか、この子に日輪を連れ去られるのは……嫌ですか、日輪と離れるのは」
「少し黙るがいい」
ケラケラと笑う神威に、鳳仙は静かに返した。
「年は取りたくないもんですね。全てを力で思うがままにしてきた、あの夜王鳳仙ともあろう男が、たった一人の女すらどうにもならない」
「女は地獄、男は天国の吉原?いや違う。
「そうだなー。日輪がダメなら……ここで最近噂になってる、星影っていう子と一発ヤラせてよ」
星影の名が出てきて鳳仙はピクリと眉を動かす。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時