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綺麗な薔薇には棘がある 九 終 ページ11

月詠が逃がそうとするが下から、通気口の中から銃撃が放たれた。

「なっ、下から!?」
「ぐっ!!」

 銀時は慌てて晴太の前に出て庇うが、下から番傘が突き出てきてドゴッと銀時の腹を打ち上げた。

「がはッ!!」
「銀ちゃん!!」

 銀時は口から胃液を吐き出し後ろに吹っ飛ぶ。
 通気口から、夜兎がもう一人出てきた。

「夜兎が二人!?」

 今出てきた夜兎が晴太を掴み上げる。

「放せ!!」
「晴太ァァ!!」

 神楽はすぐさま晴太を助けようと番傘片手に夜兎に襲いかかった。

 しかし

「!!」
「邪魔だ、退いてくれよ」

 後ろから若い男の声がして背後に跳び上がる影が見えた。

「言ったはずだ。弱い奴に、用はないって」

 神楽の背後には、長いサーモンピンクの髪を三つ編みに結い、包帯を顔に巻いた男が番傘を構えていた。

「にっ……」

 番傘が勢いよく振り下ろされ、ズガァンと音が響き白煙が広がる。

「かぐっ……」
『!!』

 銀時が神楽の名を叫ぼうとするが、煙が晴れた先に広がる光景に全員、目を見開いた。

「お?」

 包帯の男は声をもらす。

 彼の番傘は神楽に当たることはなく、彼と神楽の間に割って入った人物の片手で止められていた。

 黒い長髪を後ろ髪だけ下ろし兵庫髷に結った、青い目の遊女。

「な、なんで……」

 月詠と晴太は彼女を見て驚いていた。

「オイオイ……団長の一撃を片手で受け止めるなんざ、どういうこったァ」

 金髪に渋顔の男は苦笑いする。

「……夜兎」

 遊女は目の前の状況みて小さく呟いた。

 包帯男の目が弧を描く。
 
「まさか受け止められるとは思ってなかっ」

 彼が話している途中で、遊女は番傘を掴む手に力を入れて男を壁に叩きつけた。
 先ほどより重く大きな破壊音が鳴り響き、土煙が舞い上がる。

「!団長ォ!!」
「イタタ……話は聞いてほしいんだけどな」

 包帯男は煙を払って通気口に降り立つ。
 彼の叩きつけられた壁は大きく陥没し広範囲に亀裂が入っていた。

「……申し訳ない。夜兎に手加減できるほど、強くはないんです、私」

 女は簪を引き抜いて長い髪を下におろした。

「ぬし……なんでここに」
「……なんか、胸騒ぎがして」

 月詠が驚いて問えば、女は目を合わさずに答えた。

 その声はどこか、殺気を含んでいる。

 それは彼女の青い瞳も同じくで、包帯男を獲物に見立てるかのように強い眼光で捉えていた。

吉原第二席に鎮座する戦乙女 一→←綺麗な薔薇には棘がある 八



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時

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