検索窓
今日:8 hit、昨日:20 hit、合計:28,155 hit

研ぎ澄まされた剣に泥は似つかない ニ ページ4

二人で並んで帰るなか、上から小雨が降ってきて頬を濡らした。

『あ……雨降ってきましたね』

 徐々に雨量が増していき、二人とも急いで近くの建物の屋根に入った。
 どんどん激しさを増し、灰色の空から大量の雨が地面に叩きつける。

 身動きが取れなくなりAは困ったように眉を下げた。

『うーん。ちょっと雨宿りしてから行きますか』
『……いや』

 土方は一度、後方の路地に視線を向けて断った。
 屋根伝いで少し離れた前方にコンビニを見つける。

『もう夜も遅い、待ってたら帰る頃にはだいぶ暗くなるだろ。悪いがそこのコンビニで傘買ってきてくれるか』
『じゃあ……土方さんも一緒に行きませんか?屋根があるので濡れませんし外寒いですから』
『いや、ちょっと外で煙草吸いてェ。金は後で渡すから頼めるか』
『え……わかりました』

 土方が頑なに動こうとせず懐から煙草を出して咥える。
 Aは少し不思議そうにして承諾し、コンビニに傘を買いに行った。

(なんか今日の土方さんちょっと変だな。とにかく傘……あ)

 Aは傘一本だけ持ってレジに行きそうになって足を止めた。

(こ、こういう時は傘二本でしょ!つい一本だけで会計しようとしてた……相合傘になっちゃうじゃんかっ、何やってんだ私)

 Aは顔を赤くしてすぐにもう一本取りに行った。
 会計を済ませてコンビニを出るが、

『あれ、土方さん……?』

 先ほどの場所に土方が居ずAは驚いていた。


『オイ』

 土方はAがコンビニに行ったあと、煙草を吸いながらその場を離れて路地に入った。
 そこには何人もの浪人がたむろっていて腰に刀を差し武装していた。

 土方は鋭い目で男達を睨む。

『真選組副長と訓練指導員を尾行するとは、随分舐められたものだな』
『チッ、土方十四郎か……貴様に用はない。俺たちの目的はAAだ』
『悪いが、あいつはウチの訓練指導員だ。アンタらのとこに派遣させてちゃ、こっちの訓練が減っちまうんでな……さっさと手を引け』

 土方の言葉を無視して、浪人たちが刀を抜いて土方を囲んだ。

『いくら鬼の副長とはいえ多勢に無勢、ヘタに怪我をしたくなければさっさと消え去れ』
『……俺ァ、てめーらのような汚ねェ手で、アイツの剣を使われたくねーんだ』

 土方は眉を寄せて煙草を口から離し、携帯灰皿で消火する。
 腰に手を当て、抜刀して刀を構えた。

研ぎ澄まされた剣に泥は似つかない 三→←研ぎ澄まされた剣に泥は似つかない 一



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
97人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。