研ぎ澄まされた剣に泥は似つかない ニ ページ4
二人で並んで帰るなか、上から小雨が降ってきて頬を濡らした。
『あ……雨降ってきましたね』
徐々に雨量が増していき、二人とも急いで近くの建物の屋根に入った。
どんどん激しさを増し、灰色の空から大量の雨が地面に叩きつける。
身動きが取れなくなりAは困ったように眉を下げた。
『うーん。ちょっと雨宿りしてから行きますか』
『……いや』
土方は一度、後方の路地に視線を向けて断った。
屋根伝いで少し離れた前方にコンビニを見つける。
『もう夜も遅い、待ってたら帰る頃にはだいぶ暗くなるだろ。悪いがそこのコンビニで傘買ってきてくれるか』
『じゃあ……土方さんも一緒に行きませんか?屋根があるので濡れませんし外寒いですから』
『いや、ちょっと外で煙草吸いてェ。金は後で渡すから頼めるか』
『え……わかりました』
土方が頑なに動こうとせず懐から煙草を出して咥える。
Aは少し不思議そうにして承諾し、コンビニに傘を買いに行った。
(なんか今日の土方さんちょっと変だな。とにかく傘……あ)
Aは傘一本だけ持ってレジに行きそうになって足を止めた。
(こ、こういう時は傘二本でしょ!つい一本だけで会計しようとしてた……相合傘になっちゃうじゃんかっ、何やってんだ私)
Aは顔を赤くしてすぐにもう一本取りに行った。
会計を済ませてコンビニを出るが、
『あれ、土方さん……?』
先ほどの場所に土方が居ずAは驚いていた。
『オイ』
土方はAがコンビニに行ったあと、煙草を吸いながらその場を離れて路地に入った。
そこには何人もの浪人がたむろっていて腰に刀を差し武装していた。
土方は鋭い目で男達を睨む。
『真選組副長と訓練指導員を尾行するとは、随分舐められたものだな』
『チッ、土方十四郎か……貴様に用はない。俺たちの目的はAAだ』
『悪いが、あいつはウチの訓練指導員だ。アンタらのとこに派遣させてちゃ、こっちの訓練が減っちまうんでな……さっさと手を引け』
土方の言葉を無視して、浪人たちが刀を抜いて土方を囲んだ。
『いくら鬼の副長とはいえ多勢に無勢、ヘタに怪我をしたくなければさっさと消え去れ』
『……俺ァ、てめーらのような汚ねェ手で、アイツの剣を使われたくねーんだ』
土方は眉を寄せて煙草を口から離し、携帯灰皿で消火する。
腰に手を当て、抜刀して刀を構えた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時