『ワールドトリガー』私の彼氏は黒トリガー (ページ26)

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第24話ページ26

その頃のボーダー本部。

「黒トリガーには、黒トリガーをぶつければいいだろう。

　迅、おまえに黒トリガーの捕獲を命じる」

遊真の黒トリガーを奪うべく、城戸司令が迅に命令を下していた。

例のごとく修は緊張感あふれる会議室の空気に冷や汗をかきっぱなし。

そしてこちらもまた例のごとく、表情こそ真剣だが飄々とした態度の迅。

「・・・会議は終わりだ。速やかに任務を遂行しろ」

威圧的な城戸司令のその言葉に、迅はノータイムで「それはできません」と答えた。

「おれは玉狛支部の人間です。城戸司令に直接の指揮権はありません。

　おれを使いたいなら林藤支部長を通してください」

どこか余裕そうな笑みを貼り付けた迅は、毅然とした態度でそう言った。

城戸司令はそれを見てから林藤支部長に視線を送り、命令を促す。

素知らぬ顔で煙草を吸っていた林藤支部長は、「やれやれ」と呟いてから言葉を発した。

「支部長命令だ、迅。黒トリガーを捕まえてこい。

　ただし・・・やり方はおまえに任せる」

場の空気が一瞬にしてざわつく。

発言の意図が掴めないといった顔の城戸派一党とは逆に、迅はニッと不敵な笑みを浮かべた。

「了解、支部長(ボス)」

額にかけてあったサングラスをかけ直し、軍人よろしく敬礼しながら命令を復唱する迅。

その様子からして、迅が遊真の追手になることはないのだろう。

もしかしたら、近界民である遊真を庇ってくれさえするかもしれない。

驚嘆と安堵が入り混じったような表情で、修は迅を見た。

迅は修の頭を一度だけ撫で、「さぁて、行くか。メガネくん」と一言。

修はそれに「はい！」と返事をし、会議室の扉へと足を向けた。