第23話 ページ25
「本当にこれで良かったの?別に遠慮しなくてもいいんだよ?」
全国的にも有名なハンバーガー店の紙袋を抱えて、Aたちは閑静な住宅街を歩いていた。
「エンリョなんかしてないよ。食べたいものを選んだだけだし」
「私も・・・奢ってもらってしまって、すみません・・・」
全く遠慮のない様子の遊真とは打って変わって、千佳はぺこぺこと頭を下げ続ける。
「いいよ千佳ちゃん。年長者が奢るのは当たり前だと思ってるし」
ボーダー内でもそんな感じだしね、と言葉を付け足してAは空を仰いだ。
澄みきった綺麗な青空だ。所々に浮かぶ雲も、なんだか見ていて心地が良い。
しばらく他愛もない会話を続けて歩いていると、ふいに千佳が走り出す。
小走りで先へと進む千佳は、数メートル先の鳥居の前で足を止め、「ここだよ!」と手を振った。
Aと遊真は一度顔を見合わせ、ふっと笑ってから小走りで千佳のところまで移動する。
千佳が案内してくれた場所は、枯葉が散乱した寂れた神社。
話によると、昔からトリオン兵に狙われやすい体質だった千佳の避難場所であるらしい。
ここなら他の人に危害も加わらないし、迷惑もかからない安全圏だと考えたのだろう。
朽ちかけた木製の賽銭箱の前、意外としっかりした木の階段に腰かけて、三人は紙袋を開けた。
ややあって、ドリンクを飲んでいた千佳が口を開く。
「遊真くんって・・・本当に近界民なんだよね?」
ハンバーガーを齧っていた遊真は、咀嚼しながら「ほうだよ」と答えた。
「あ、でもおれはこの街を襲ってるやつらとはカンケーないよ」
「うん、修くんにそう聞いた」
訊いていいのか悪いのか。少し遠慮ぎみに話す千佳の姿は、何となく躊躇いがちだった。
しばらくして決心がついたのか、千佳は遊真を真っ直ぐに見て話を再開させる。
「・・・あのね。遊真くんに訊きたいことがあるんだけど・・・」
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作者名:シロナ | 作成日時:2015年7月20日 10時