『ワールドトリガー』私の彼氏は黒トリガー (ページ20)

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第18話ページ20

Aが到着した時、既に戦闘はほぼ終結していた。

目の前に立っているのは白髪の少年。

三輪の“鉛弾”を受けてはいるものの、あまりダメージはないように見えた。

「・・・おや、新手か？」

その少年は呑気に首を傾げながらAを見据える。

その手には、三輪隊の米屋が使っている槍型の弧月が握られていた。

「うおっAさん！？何でこんなトコにいんの？」

何故か“鉛弾”を撃ち込まれて地面に転がっている米屋が、Aを見てそう言った。

その近くで悔しそうに歯噛みしている三輪も同じく“鉛弾”を受けている。

「・・・その前に、何があったのか説明してくれると嬉しいんだけど」

Aは三輪と米屋を見た後、ホームでこの様子を見ていたであろう修に問いかけた。

所々端折って説明された話によると、やはり目の前にいる少年は近界民であるそうだ。

排除しようとしてきた三輪隊を、自分のトリガーを使って返り討ちにしたらしい。

恐らくそのトリガーが、迅の言っていた黒トリガーだろう。

「なるほどね・・・ところできみ誰？」

修の近くでオドオドしていた少女は、Aに急に話しかけられてビクッと体を震わせた。

その反応からして、ボーダーにあまりいいイメージを持っていないことが容易に想像できる。

まぁ、出会って早々攻撃を仕掛けてくるような過激な戦闘を見せられれば、それも当然か。

「大丈夫大丈夫。襲いかかったりなんてしないから」

そこに転がってる三輪隊とは違ってね、と笑いかけると少女は「雨取千佳、です」と答えた。

「千佳ちゃんね、私は霧玄A。よろしく」

優しく笑うAの姿に安心したのか、千佳も「よろしくおねがいします」とお辞儀する。

それを見てからAは再び少年を見据え、ボーダーの一員として言葉を発した。

「きみが近界民であることはこの目で確認した。

　実力で取り押さえてもいいけど、その前にきみに訊きたいことがある。」

「・・・ほう？」

少年は真っ直ぐな目でAを見る。

その場の空気が一気に張りつめていくのを、周りの誰もが感じ取った。

ややあって、Aが口を開く。

「・・・本当に、きみは三雲君の友達なんだね？」

「そうだよ。オサムはおれに色々なことを教えてくれた。オサムはおれのトモダチだ」

即答だった。迷う余地も取り繕う時間もなく、少年は確かにそう答えた。

「へぇ・・・」

Aは少年を鋭く睨み、弧月に手をかけた。