第10話 ページ12
会議は一段落し、皆ぞろぞろと元の持ち場へ戻っていく。
「ちょっと根付さん、これ見て見て」
そう言って根付のほうに近づいていく迅をなんとなく眺めながら、修は呆けた顔をしていた。
「(助かった・・・のか?)」
確証はないがクビにはされていないのでそういうことなんだろう。
そんなふうに思っていると、ひとりの少年・・・青年?に声をかけられた。
ボーダー内でもそこそこ名の通ったA級部隊、三輪隊の隊長だ。
正直、どう受け答えをしたか修はよく覚えていなかった。
ただ、自分の前に突如現れた空閑という謎の近界民を庇い、隠すのに必死だったのだ。
空閑にも「オサムがやったことにしといてくれ」と頼まれた手前、正直に言うわけにはいかない。
存在しない実力に箔がつくのもなんだか癪だったが仕方がないだろう。
修は何とか三輪を誤魔化して迅たちのもとへと急いだ。
その数分後。
「迅さんは、イレギュラー門の原因について何か心当たりがあるんですか?」
本部の廊下でそう尋ねた修に、何でもないような表情で迅は「いや全然」と返した。
「でもそのうち分かるさ。おれのサイドエフェクトがそう言ってる」
「(・・・?)」
「・・・気をつけてよ。今日の迅は37%、何が起きてもおかしくないんだから」
「ははっ分かってるよ。Aちゃんも結構心配性だなぁ」
「心配とかじゃなくって。私のサイドエフェクトがそう示してるから気をつけてって言ったの。
・・・あれ、これってやっぱ“心配”のうちに入る?」
「入る入る。思いっきりね」
「うーん・・・じゃあ、やっぱり心配してる」
「Aちゃんに心配されるって嬉しいね。光栄だ。
・・・あ、そうだメガネ君。明日の朝、おれメガネ君の家に迎えに行くから。
一緒にイレギュラー門の謎を解明しような」
「あ・・・はい。よろしくお願いします」
「きみ・・・三雲君、だったっけ」
「はい?」
「今日の三雲君は45%、帰り道には気をつけてね」
「・・・はい、ありがとうございます?」
「何で疑問形?」
「いや、特には・・・」
「そう?まぁいいか。じゃあ、またね」
迅とAに見送られ、修は帰路に着いた。
先程までの、二人の会話が甦る。
・・・そういえば、サイドエフェクトって何だろう。
疑問に思ったが尋ねる機会を失ったので、訊けずじまいに終わった修であった。
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作者名:シロナ | 作成日時:2015年7月20日 10時