【urt】dreamin’ Halloween Night【usss】 (ページ12)

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幼い頃。私には、何となく、人間でない物が見えていた。
それはもやもやしたものだったり、人型や動物型だったりしたけれど、空間に何か居ると言い出す私を、母親や友達は妄想の激しい不思議ちゃんだと思っていたようだった。

あれは自分には見えているのに他人には見えていないんだ、と理解するようになった、小学校低学年の頃。

ハロウィンの夜に、化け猫のお兄さんに会った。

その日は家族で地域のハロウィンイベントに参加していたのに、いつの間にか私は迷子になってしまったのだ。

最初はそこに見えるお兄さんもイベント参加者だと思っていたのに、肩に乗ったたぬきも相まって、なんとなく異質なものを彼に感じ、幼い私は彼をじっくり見てしまった。

凝視していると、向こうも気付いて、少し驚いた顔をされた。

「お前…俺が見えるのかよ、」

「？なあに？おにいさんだあれ、」

幼い私に、お兄さんは呆れたように言った。

「お前こそ…そんなチビのくせに、こんなとこまで来てどうしたんだよ」

その言葉に、じわりと涙が滲んだ。

「Aのお母さんが、いなくなっちゃった、」

「はあ？」

実際は私がはぐれてしまったのだが、幼い私は母親が自分を置いていってしまったのだと思い込んだ。

私がぐすぐすと泣き出すと、お兄さんはため息をつきながらも「じゃ、一緒に探してやるよ」と言って並んで歩き出してくれたのだった。

しかしそう簡単に見つからず、どんどん気分は落ち込む。
そんな私に、お兄さんは「少し遊ぼうぜ、」と、私をひょいと抱えて大きく飛び上がり、空に近い場所で星を見せてくれたのだった。

その人並外れた跳力に、ああ、このお兄さんは人間じゃないんだ、と気付いたのだけど、ちっとも怖くなかった。

しばらく星を眺めているうちに、お兄さんが遠くで私を探している家族を見つけてくれて、気付かれないくらいの距離のところまで連れて行ってくれ、私は無事に家族に会うことが出来たのだった。

その時、その星空を見て、私がお兄さんに言ったのが、さっきの言葉だったのだ。

「おほしさまが、つかまえられそうだね」