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「北斗、」
そう声をかけると、今日初めて、視線が重なった。
「なに？」
気怠そうな返事だが、そう返されることはなんとなくわかっていた。
俺は特に気にも留めず、続ける。
「見て、北斗の色」
造花だけれど、黒い薔薇なんてなかなか見られるものじゃない。し、北斗の色だし。
なんとなく気になって手に取って、なんとなく、彼がどんな反応をするのか気になって。
ユラユラと薔薇を揺らしながら見せると、北斗はその細い目を僅かに開いて、おもむろに歩き出した。
そして、色違いの、薔薇を手に取る。
ピンク色だ。
「ん、京本の」
変わらず気怠そうに、だけど少しだけ口角を上げて見せる北斗。
なんだ、そんな顔もできるのか。
なんて思わず口をポカンと開けてしまった。
何か続けた方がいいのか、と口を動かそうとしたところで、「そのアイデアいいね！お互いの色持とっか！」というカメラマンの声がかかる。
なんだか急に、現実に引き戻されたみたいだ。
その後も、カシャカシャと何度もシャッター音が響き、撮影は終了した。
あの後何も言わずに、そのまま部屋を後にした北斗。
楽屋へ戻ってからも、特に会話を交わすこともなく、彼は帰っていった。
「あ、花、持ってきちゃった」
握りしめた黒い薔薇を見て、俺はぽつりと呟いた。
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白梅(プロフ) - なぺこさん» なぺこさんコメントありがとうございます！嬉しい言葉がたくさん、、！不定期更新ですが、ぜひこれからも応援よろしくお願いします！ (2019年6月3日 16時) (
レス) id: ff41a5aa52 (このIDを非表示/違反報告)
なぺこ(プロフ) - とても面白いです！文章から、その時の情景がすごく伝わってきて読みやすいです！！好きです！応援してます！！ (2019年6月2日 22時) (レス) id: 7d886639bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白梅 | 作成日時：2019年5月15日 18時
