第２話 再会 ページ4
「死を恐れよ。殺しを恐れよ。死を望む者は等しく死に、望まるるが故に……」
懐かしい声と、全てを喰らう羅生門が路地裏に響き、恐怖を体に植え付ける。
それを見て、夫の名を口にしそうになったが、この世界では『敵対関係』だと互いに演じ、殺し合わなければらない。そのため、馴れ合いは不要。あたし達の関係がポートマフィアの長に知られれば、命は無い。
「お初にお目にかかる。僕は芥川。其処な小娘と同じ、ポートマフィアの狗」
「芥川先輩。此処は私一人でも──」
部下と思われる女性の頬を平手打ちする様子を見、『あれは痛かったなぁ』と昔受けた同様の威力からくる痛みを、しみじみ思い出していた。
「人虎は生け捕りとの命のはず！ 片端から撃ち殺して如何する!? 此の役立たずめ！ 下がっていろ！」
「……すみません」
この説教の間に谷崎に了承を得、血塗れになっている女子を担ぎ、武装探偵社へ向かおうとしたが、大腿部に刃物で貫かれたような鋭い痛みが走り、地面に膝をついて倒れてしまう。
「ぐっ」
「元より、僕の目的は貴様一人なのだ。人虎。そこに転がるお仲間は、言わば貴様の巻き添え」
「僕のせいで、みんなが……」
「然り。其れが貴様の業だ。人虎。貴様は生きているだけで、周囲の人間を損なう」
「黙れ。芥川」
大腿部の出血で意識が遠のきかけるが、激痛に耐え、黒外套野郎に反論する。
「生きながら他人に不幸を招く人間なんていない。今日は、ただ
今度は、心臓付近に彼の刃が突き刺さり、息が詰まる。傷の深さは谷崎と同等だろう。そこまで達してなくて良かった。
「人虎とは違い、貴様は殺す」
「っ……!!」
側頭部を乱暴に踏まれ、身動きができない。せめて、上半身だけでも起こそうと試みるが、腕の付け根を抉られる。悲鳴も苦悶も出ない。喉から痛みに耐える声が出るだけ。痛みには、夫と出逢う前から慣れている。
「異能力・羅生門！」
アスファルトが焦げる臭いがする。怪我の度合いは、中傷。体は動かせるが、援護は不可能。そこから大量出血による貧血で、意識を失った。
意識が覚醒し、目覚め、周囲を視線だけで見渡す。
自分の横で介抱している人物に見覚えがあり、ひゅっと無意識に息を呑んだ。
「リン……？」
「うん。おはよう。Aちゃん」
ここが、彼らにとって死後の世界だと再認識するまで、しばらく時間がかかった。
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エミリア1415(プロフ) - にゃんこさん。コメントありがとうございます。魅力的に書けるように頑張ります。 (2021年1月15日 15時) (
レス) id: 82aefb6635 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 芥川大好き。龍チャン愛してる。 (2021年1月15日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - 白狐さん» 白狐さん、コメントありがとうございます。更新できるように精進しますね (2018年12月16日 17時) (レス) id: c808353d76 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あー、最高。全てが好き。更新頑張ってください。僕の為にも((( (2018年12月13日 23時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
エミリア1415(プロフ) - ありがとうございます。頑張りますね。 (2017年4月9日 15時) (レス) id: 738ed6759e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミリア | 作成日時：2017年3月12日 22時
