52*熱のせい？ ページ5
太一に支えてもらって保健室に来たけどやはり熱があり、ベッドで休ませる事に。
賢二郎なのにボーッとしてるし、甘えてくるのは熱のせいだったのね。
横になる賢二郎の頭を撫でれば、手を取られ頬に持って行かれる。
｢手ぇ冷たくて気持ちいい…｣
｢うん、けんじろ死なないで…｣
｢死なねぇよ｣
｢親御さんに迎えに来て貰ったほうがいいかしら。｣
｢白布んち豊黒だし1時30分くらい掛かるんじゃないすか？｣
白いカーテンの外側では太一と保険医が話をしている。
寮だと食堂でお粥とかは作ってもらえるけど看病までしてくれる訳じゃないらしい。
実家も遠いからお迎えにしろ、一人で帰るにしろ道中が心配。
｢同室が太一だから風邪は移らないと思うけど
頼りにはならなそう…｣
｢聞こえてますよーAさん。｣
｢あ、家くる？｣
お母さんに連絡してみると[連れてきなさい]と、賢二郎推しの為即答頂けて。おじいちゃんにも連絡して外泊届けを頼んでくれるらしく。
｢母、祖父共に了承は得ましたがご本人様はどうします？｣
｢Aんち？｣
｢うん。看病してあげる。｣
｢…行く。｣
*
授業を終え、部活はサボ…休む旨を藍ちゃんに伝えた。
寮に着替えなどを取りに行く賢ちゃんに同行してから迎えに来てくれたお母さんの車で家に。
｢すみません。お世話になります。｣
｢遠慮しなくて良いからね。｣
｢早く治して良くならないと！｣
｢ん。｣
小さな返事のあと、私の肩に頭を乗せて目を閉じるから具合悪いんだろうな。
家に着き、部屋主が居なくなった兄の部屋に案内して寛げる格好になってもらいベッドに寝かせた。
久しぶりに入る兄の部屋はお母さんが掃除してくれていたからキレイ。
｢わりぃ、迷惑かける。｣
｢いいの。ゆっくり休んで。
私も隣の部屋に居るから、必要なものとかあったら何でも言ってね。｣
立ち上がろうとするも、制服の裾をちょんと引っ張られる。
…いつも気にもせず腕とかグイグイ引くくせに…何この手可愛い…
振り返れば…あざとい…
上目遣い…！
｢A…｣
｢なぁに？｣
｢ここにいて。
手、握って｣
心臓がいたい
ギュンと来た
弱っている彼氏が史上最高に可愛い…!!
顔が天使なだけあって攻撃力が非常に高い。
ベッドサイドに座り手を握れば、満足したのか目を閉じ数分で寝息を立てるから母性本能にグサグサとナイフを突き立ててくる。
｢早く良くなってね。｣
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作者名：モカ
| 作成日時：2020年4月10日 21時
