69*甘いフレンチトーストと火花 ページ22
｢Aちゃん、おはようさん。
昨日はほんまにごめんなぁ。｣
朝食会場はバイキング形式で朝からとてもウキウキしていた私。
よく食べる私に呆れる賢二郎と太一を尻目に、焼き立てのフレンチトーストを貰いに列に並ぶ。
後ろからの声に振り返ればキレイに盛られつつも量の多いお皿を手にした…髪が銀髪だから、治君の姿。
｢ちょっと驚いちゃったけど大丈夫。｣
驚いたと言うより、ほんとは少し怖かった。これまでに会ったこと無いタイプの意地悪な人…賢二郎達の話では彼が高校No.1セッターの呼び声高い宮侑さん。
｢アイツ来ても無視してえぇから。
…ここめっちゃ良い匂いやなぁ｣
｢フレンチトーストだよ。
美味しいって評判見て食べてみたかったの｣
｢そうなん？俺も並ぶわ。
Aちゃん食いしん坊さんなんやろ。川西君言うてたで。｣
｢…否定出来無い。
私、食事の時間が１番好き。｣
太一め、余計な情報を…と恨めしい目で見るもアイツは気付かない。
そんな事よりも賢二郎さんと目があってしまってこっちにいらっしゃる…
｢俺も飯の時間が１番好きやな。｣
屈託の無い笑い顔にこの人も食べるのが本当に大好きな人なんだとシンパシーを感じつつ、治くんの後ろに並ぶ賢二郎さんに小さく手を振った。
｢賢ちゃんも食べるの？｣
｢食う。多かったらお前にやるよ｣
｢わぁい｣
｢賢二郎くん？やろ。
Aちゃんの彼氏なん？｣
｢…そうだけど。｣
対面キッチンで次は私の番。
目の前の鉄板で焼かれるフレンチトーストと、後ろで感じるバチバチの火花…
｢えぇなぁ。こんなにかわえぇ彼女が応援にまで来てくれて。｣
｢あんたモテるんだろ。
女に困って無さそうだけど？｣
｢まぁ、ぼちぼちやなぁ。｣
ふっふと余裕そうな悪い顔と、見上げるように見下す恐い顔…
視線で賢二郎に訴えるも治くんがお気に召さないのは確実で…フレンチトーストを受け取りそっと、太一の待つ席に戻った。
｢太一って治くんと友達なの？｣
｢大会で顔合わせるし賢二郎と違って社交的だから誰とでも話しますよ？｣
｢社交的、適当の間違いでは？。｣
｢そうとも言う。
賢二郎ヤキモチ妬いてるから気を付けなよ？｣
｢妬かせたい訳では無いし、出来る事なら賢ちゃんにくっついてたいんだよ。
そう言えば太一にはヤキモチ妬かないよね。｣
｢マブダチだから俺とAと賢二郎は。｣
大股でこちらに近づく賢ちゃんに手を振るもイライラしてるなぁと苦笑い。
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作者名：モカ
| 作成日時：2020年4月10日 21時
