49*回し蹴り ページ2
憂鬱過ぎる水泳の授業。
隣のクラスと合同の為、プールサイドには沢山人がいた。
コンプレックスではないが周りより少しサイズの大きい胸が思春期かつ健全な男子生徒の目を引いてしまうのだろう…
｢見た？デカくね｣
｢触らせてくれないかな｣
なんで男女一緒の授業なんだろう…
はぁ…と溜め息を吐きつつ、女子の輪に入るもコソコソ話す声は聞こえてくる。
藍ちゃん達が睨んでくれるけど。
｢賢ちゃんになら見られるのも触られるのも嬉しいのに、他の人だと少し怖い…｣
｢…へんな惚気方し始めたよ。
まぁ、水泳の時くらいは男女別にしろって話だよね。｣
｢…プールに隕石でも落ちたら良いのに。｣
｢ネガティブ拗らせた。
逆に見せたら…ってAはそう言うタイプじゃないからなぁ。｣
友達が囲んでくれるから見えないようにしてくれて、友達すき…って感謝しかない。
みんな優しい。
｢Aそこにいる？｣
｢太一、ここ。｣
友達の影から顔を出して手を振ればゆっくりと近付いてくるし、その後ろには禍々しいオーラを身に纏った賢ちゃんの姿もある。
…不機嫌だ。
｢うっは、やっぱりでっけーな。
触らせて？｣
文句を言うよりも先に凄くいい音がプール内に響く。
振り上げた脚が太一のお尻を蹴った音。
悲鳴にも似た痛がる声。
｢ジロジロ汚えねぇ目で見てんじゃねぇよ。
目ぇ潰すぞ。｣
｢白布さん…ほんの冗談です…」
｢…冗談？誰の彼女にそんな事言ってんだ？
その立派なブツ引っこ抜くぞ。｣
言った後に周りを一瞬、あの威圧感しか与えない目で見てから私の頭にポンと手を置いてじっと見られている。
｢来んの遅くなってごめん。
何かあればすぐ言え。声出せ。
それと太一はわざと言ってたから悪気はねぇ。｣
若干の苛立ちを感じさせる目だけど、私の為にやってくれた事だと実感させられる。
手は離れ、太一と男子の列に戻っていく。
｢賢ちゃんありがとう。
太一もごめんね、ありがとう｣
二人のニッとした笑い顔に不安だった気持ちは軽くなる。
それを見ていた女子達も｢白布兄貴格好いい｣ってなるから同調した。
｢藍ちゃん。｣
｢なんだね。｣
｢賢ちゃんが細いのに筋肉あって、えっち過ぎる…
あとやっぱり男前過ぎて好き過ぎる…｣
｢…まぁ確かに男前だけどさ。ぶっこ抜くって…
結構本気で川西のことも蹴ってたよね…？
協力した川西はドMなの？｣
｢うーん…
それは台本には無いと思うから、飲み物奢っておく。｣
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作者名：モカ
| 作成日時：2020年4月10日 21時
