ツンデレ王子と白鷲のお姫サマ[白布賢二郎]

38*仙台市体育館の対面 ページ39

制服を着て、結んだ髪には紫のリボンを付けた。

インハイの宮城県予選が行われている。
初日は部活で行けず、２日目は部活後の午後からの観戦に藍ちゃん参戦。


ただ思う事は白鳥沢は強い。
牛島さんが得点の中心に居るのだろうけど、太一や天童さんが塞いだり、山形さん達が繋いで、賢二郎が上げて、牛島さんが打つ。

今の対戦校が可哀想だななんて失礼な感想で眺めていた。


｢川西も真面目にバレーしてるとカッコイイよくない？｣

｢んー？
太一って普通にかっこいいと思うけど？｣

｢白布と川西どっちがかっこいい？｣

｢賢二郎｣


｢えー俺のがかっこよくない？｣


隣の席に人が座ったと思うも、先に聞こえた声に肩が揺れた。
隣の藍ちゃんの声にならない声は嬉しさしかない。


｢やっほーA。
白鳥沢の制服ってアイドルみたいでAはほんとに似合うよね｣

｢…｣

｢あれれ？無視？
俺悲しいなぁ。あ、白鳥沢勝ったみたいだよ。｣

｢自分の試合は終わったんですか？｣

｢見てなかった？
余裕で２勝して明日は白鳥沢と決勝だよ。｣


態度とは裏腹に私怨とか滲ませた口調。
負けたくない、打倒白鳥沢を掲げて来た人だから、思いは強い。

触れられた髪を手で払いのけるもすっごく楽しそうな顔。


｢明日はこのリボンの色やだなぁ。｣

｢…明日もコレです。｣


藍ちゃんに制服の裾をつんつんされるから振り返れば、バレー部が応援席に向けてのお礼の整列をしていた。
勿論その中に賢二郎の姿もあって、勝ったって言うのにこちらを見上げる視線は睨みを効かせてくる…


｢もう、あっち行って下さい…｣

｢そうそう、アイツだ。Aの彼氏。
俺の方がカッコイイよね？｣


同意を求められた藍ちゃんは｢はい♡｣なんて乙女な顔しちゃうんだけど…
それに対して完璧過ぎる笑顔を向けるから、ずるい。


試合も終わったし帰ろうと思うのに徹先輩近いし、藍ちゃんを丸め込んだから離れないのが腹立つ。


｢…わ！｣


後ろから腕を引かれバランスを崩すもすぐに抱えられている事に気づく。
見上げれば試合の後だからか体温の高い賢二郎…が、相当機嫌の悪そうな顔…


｢もう帰んの？｣

｢うん、試合お疲れさま。すごく格好良かったよ！｣

｢ん。
…で、青城の及川がお前に何の用？｣


対面する徹先輩の不敵な笑みは人を煽るときにするもの。
沸点の低い賢二郎も体温とは裏腹に、温度の無い顔で徹先輩を見上げてて…


この状況をどうしたらいいのか…

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