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「俺はAも来ると思ってたんだけど」

「……迷惑じゃない?」

「はあ? 今更迷惑とかクソもないじゃん。もう散々迷惑かけられてるのに」

「わ、わかっててもひどい……でも私、わたし、倫太郎が、」

「Aは俺がいないと生きてけないんでしょ、知ってるよ。だから来ればいいじゃん、稲荷崎」


 そう言って倫太郎は今日初めて薄く微笑んだ。

私はその顔が大好きだから、嬉しくって嬉しくって飛び付いた。

今度は違う意味の涙が溢れる。

 倫太郎の体は傾くことなく私を受け止めてくれるから、遠慮なくその肩口に顔を埋めて泣いてやった。

「シャツ濡れるんだけど」と文句を言われたけれど、無視して泣いてやった。

鼻水もつけてやろうかと思ったけれど、流石にそれは怒られそうだったからやめた。


「わたし倫太郎の笑った顔が好き」

「ふーん」

「うそ、笑った顔だけじゃなくて全部好きなの」

「知ってる」


 Aは俺がいなきゃ生きていけないからね。


 倫太郎はそう言って笑うから、私はただ「うん」と頷き返すだけだった。

 泣き虫な子供だった。

 手を引いて貰わないと一人で歩くことすらできない子供だった。

 私は一人では生きていけない子供だった。

 私はもう子供という年齢では無くなったけれど、私はまだ泣き虫だし、倫太郎に手を引いてもらわないと一人で真っ直ぐ歩くことも出来ないと思う。

私は倫太郎がいてくれないと、きっと一人でなんて生きていけないと思う。

それはずっと変わらない。

 口では面倒だ、迷惑だと言うけれど、倫太郎は本当に面倒で迷惑なら私をとうの昔に置いてきている。


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設定タグ:ハイキュー , 短編集 , 桔梗   
作品ジャンル:恋愛
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つばき - 川西のお話、鳥肌が立ちました。陰のある恋をしてほしいっていうの、同意します…! (2021年2月14日 10時) (レス) id: f1e42d3762 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - リムさん» ありがとうございます! 頑張ります (2019年12月30日 22時) (レス) id: b9479cbc1c (このIDを非表示/違反報告)
リム - 赤葦の物語とっても切なくて涙が止まりません・・・泣  これからも頑張ってください! (2019年12月22日 2時) (レス) id: 7cc2098249 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 天祢さん» そう言っていただけてうれしいです!個人的にも川西くんのお話が好きなので、刺さってくださる方がいて良かったなあと思います。更新を楽しみにして頂けるとうれしいです。コメントありがとうございました! (2019年12月14日 15時) (レス) id: b9479cbc1c (このIDを非表示/違反報告)
天祢 - 読ませていただきました!勿論全部のお話が素晴らしかったのですが、元々最推しなのもあって川西くんのお話が特に良かったです。深いなぁ…と思いました。更新頑張って下さい!楽しみにしています(^-^) (2019年12月13日 21時) (レス) id: dfbff6b887 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桔梗 | 作成日時:2019年11月16日 13時

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