第七話 ページ8
Aと百鬼丸が旅を始めてから、既に五日が経とうとしていた。
そして、この五日間の中で、少し変わったことがあった。
「…ねぇ、百鬼丸」
百鬼丸「…」
「…あのね、距離、近いと思うんだけど…」
百鬼丸「…」
Aが呼びかけも、百鬼丸は反応しない。
それはそうだ、耳が聞こえていないのだから。
最近の百鬼丸は、Aにくっついて歩くようになった。
目が見えていないからではない。
Aの感情を読み取っての行動だった。
寿海の元を離れ、Aは気が沈んでいた。
よく喋る方ではないが、本当に何も喋らなくなるほどだった。
その時から、百鬼丸はAにぴったりくっついて歩くようになった。
魂の色しか見えていないが、感情は分かるのだろう、とAは思っていた。
無論、Aの場合は両方見えるのだが。
五日も経てば、Aがよく売りに出ていた村も通り過ぎ、今は人気の多いよく栄えている村に着いた。
旅に出てから、まだ一度も妖に遭っていない。
そのため、百鬼丸の身体は旅に出る前のままだった。
「何か手がかりでもあるといいけど…」
そう呟き、古びた橋の上に来た。
「…川…」
Aは、旅に出る前に川で魚や蟹を獲ったことを思い出していた。
「父様…」
道中、そう呟くことが多々あった。
一日目の夜には、寝ている間に幾度か涙を流していた。
ポスッ
「！」
そして、そんなことがある度に百鬼丸の手が頭に置かれる。
これも、Aの感情を読み取ってのものだった。
百鬼丸は頭を撫でる訳でもなく、頭に手を置いたまま、Aの顔をずっと見つめていた。
「…ありが((どろろ「どこに行こうがオイラの勝手だ！」
とう、とまで言わせる気もなく子供の声が遮った。
見れば、川岸で小さな子供が三人の大人に囲まれていた。
一人の大柄な音が子供を掴み、顔を川の中へ押し付ける。
「…っ…殺す気か…」
切られた腕の切り口が、ジリリと痛んだ。
男「おう、兄ちゃん達、なんか文句あんのか！？」
百鬼丸達に気付いた男が、声を投げかける。
男「俺達がコイツを虐めてると思ったら大間違いだぜ！虐められたのはこっちだからな！…おい、聞いてんのか！？」
百鬼丸は反応しない。
そしてAも反応しなかった。
…目の前に、アレがいたから。
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輪廻 - めっちゃ面白いです！(^ ^) 続きを楽しみにしてます！ これからも頑張ってください！ (2019年7月11日 12時) (
レス) id: bf927136c6 (このIDを非表示/違反報告)
響 - 何が総合２位wwオリフラ立てたからじゃん (2019年6月27日 20時) (レス) id: 50d994e323 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい。外されないなら違反報告します (2019年6月27日 18時) (レス) id: c56aad1eeb (このIDを非表示/違反報告)
姫鬼(プロフ) - siriusuさん» ありがとうございます、励みになります！！ (2019年4月15日 19時) (レス) id: 72603904b9 (このIDを非表示/違反報告)
siriusu(プロフ) - とても面白いです！続き凄く気になります！更新頑張って下さい！q(^-^q) (2019年4月3日 16時) (レス) id: ee4308919b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫鬼 | 作成日時：2019年2月17日 11時
