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S side
別れたことがショックだったんじゃない。
むしろ正解だったと思う。
本当にショックだったのは、そんな風に
まぁ悪い言い方すれば“利用された”自分。
“かっこいい”とか“イケメン”とか
そういうのって俺が望んで持ってるものじゃない。
もちろん得することは多いと思うし、親に感謝もしてる。
そのおかげでハタチそこらまでは、女の子に困らなかったし
女の子を知れたし。(言い方悪いけど)
でもそれは俺の本質ではなくてあくまで外側。
“エリート”って言われるのも、好きじゃない。
やりたいことがあってこの業界に入ったんだ。
その言葉が欲しくてこの仕事をしてるんじゃない。
もっと大切にしてることがあるんだ。
外見と肩書だけで俺を決めないでほしい。
もっと中身を見て欲しい。
ずっとそう思ってきた。
“美人”“かわいい”“お嬢様”
そう言われ続けてきたあいつも
同じようなことを感じていると思ってた。
でも違った。利用された。
なんでもっと早く気付けなかったんだろう。
そう考えれば考えるほど自尊心は傷ついて、
もう3か月も立つのに、俺は落ちていた。
いつまでも引きずるなんて女々しい男だ…
自覚はあったけどなかなかキツい。
たまには一人で飲んでやろう
そう思ってたら、久々に同期のAに会った。
A「翔？！久しぶりー！同じオフィスにいるのに全然会わないねー！」
流れで一緒に飲みに行ったらもう、止まらなくて。
住宅部のアイツ、結婚するらしいよ、早いよな！
とか。
研修の時の翔、最終日ベロンベロンでさぁ…(笑)
とか。
他の同期とか研修の時の爆笑ネタの話で盛り上がって
ほんと、久々に楽しかった。
A「あ、ねぇ彼女元気？あの可愛い名前の子。くららちゃん？」
あいつの話が出た時、急に現実に引き戻された気がして焦った。
Aのやつ、そういうとこアンテナ鋭いんだよ。
A「…なんかあった？」
すぐ気づいちゃうから。
でも、
そう聞いてくる声が、目が、とてつもなく優しくて。
自然と口から出てしまった。本音が。
話し終わってからハッとした。
あぁやばいこんな女々しいところ見せて…
ごまかすために、すげー慌てて焼きそば頼んで。
でもそん時、A言ったんだよね。
「その子に翔はもったいなかったんだよ。」
って。
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作者名：ぽろ
| 作成日時：2016年5月11日 20時
