24...S side ページ24
S side
.
年が明けてすぐ、あいつと別れた。
大学時代つるんでたうちの一人だった。
当時からミスコンに推薦されるほど
美人で有名だった。
付き合ったのは、社会人1年目の年の暮れ。
向こうから付き合ってほしいと言われて
なんとなく、頷いた。
始まりはなんとなく、だったけど
気心知れてるからやっぱり居心地が良くて。
ちゃんと、好きだなって思ってた。
大事にもしてた。
ちらっと、“結婚”ていう二文字がちらついたこともある。
この業界の人は、結婚決めるの早い人がかなり多いし
俺もこいつとならいいかな、って思ってた。
だけど。
去年の秋ごろから距離を感じ始めて
クリスマスも、大学時代の友達んちのパーティで朝まで飲んで
そんだけ。
いわゆる、そういうコトもせず。
会がお開きになったタイミングで、俺らも解散。
あぁもう終わりなのかな
その時思った。
それで結局俺から振った。
別れよう、って言った時あいつは泣いたけど
その涙に本当の気持ちはこもってなかった
…と、思う。
途中から気づいてたんだ。
だんだん二人だけで会うことも、
二人だけの会話も、減っていってたこと。
そして、
あいつが俺を、飾りとして使ってたってこと。
最後の方はもう、俺を友達に合わせるってのが目的で会ってただけって感じだった。
“かっこいいーーー！くらら、こんな彼氏いんの？！”
“うらやましー。どこで出会ったの？”
“不動産にお勤めなんですか？！将来安定だねぇ〜！”
そんな風に言われるたびに、あいつはものすごい誇らしげな顔をする。
最初は俺も嬉しかったけど、途中からうんざりで。
だから誘いを断ったりもしたんだけど、
そのたびに喧嘩。
そのうち、連絡も途切れ途切れになって。
もうこんなの意味ない、やめよう
そう伝えた。
別れた1か月後、あいつとも俺とも仲の良い奴から聞いた。
新しい男連れてたよ、って。
そいつが勤めてる商社の、イケメンな人だって。
結局あいつにとっての俺の価値とか立ち位置って、
そんなもんだったんだなって思った。
1か月で見切りつけられるような、そんな男だったんだって。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1557人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽろ
| 作成日時：2016年5月11日 20時
