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ペアで動いてるわけだから仕事してる時は常に一緒。
ってことは終わる時間も毎日同じ。
しかも帰りの電車も、乗り換えの駅まで一緒だから、
出勤中から帰り道の途中まで、
1日のほとんどをずーっと松本さんと一緒に過ごすわけ。
いつの間にか私の呼び方も、
“立花さん”じゃなくて
“立花”って、呼び捨てになって……
なんか、二人でいるのが当たり前になっちゃった。
オフィスにいても、松本さんどこかな、って探しちゃう自分。
私が席を外して戻ってくると、
「どこ行ってたんだよ」って言う松本さん。
なんかカップルみたい。
・・・って思うじゃない？
違うのよ。
だって、
前に翔が言ってた通り
そして初日に驚かされた通り
松本さんの“デキる男ぶり”はホンモノだったから。
こんな人の隣で同じことやらせてもらえるなんて！
誰よりも近くで技を盗み放題だなんて！
っていう嬉しさでいっぱいで。
頭の回転が速い人と一緒に仕事するのが楽しくて仕方ない。
周りの女の子にはうらやましがられるけど、そんなんじゃない。
私の“嬉しい”は、意味が違う。
…けど。
困ったことが…
「ふえぇ？！？！？！」
松「うゎ！びっっっくりすんなぁ！何？！
いきなり電車の中で変な声出すなよ！！」
隣り合って座るいつも通りの帰りの電車。
「大好きなアメリカの歌手が来日公演するって！！！！！」
松「誰？」
「フルーノマースですよ！知りません？！」
松「まじ？！フルーノ来んの？！俺も好き！！」
「夏に来るって！！ほら！！！」
ってスマホの画面を見せた時…
松「ん？」
…そう、コレ。
松本さんの、困ること。
顔が、近い。
右隣に座る松本さんに差し出したスマホ画面
それを私の手にちょっと被せるように持つ大きな手。
それだけでもちょっとビリッて電気が走る気がするのに
夢中で覗き込んだ顔が、私の右肩にあって
無意識に右を向いたら
その綺麗で長い睫毛がすぐそこにあるから。
嫌でも、心臓が跳ねる。
スマホを見る時だけじゃない。
机に並んで座って、資料を見る時もそう。
立ち話をするときもそう。
だから無意識に松本さんの方を向くと
いつもドキッとしてしまう。
違う。
そんなんじゃ、ない。
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作者名：ぽろ
| 作成日時：2016年5月11日 20時
