思春期に中指を【95's】 (ページ6)

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無機質なチャイムが鳴り響き、昼休みも終わる。人々が席につく音が喧騒に混じりだす。

「んじゃー」
「おーう」

友達とも別れ、自席につこうとした直後、私はふと思い出したように友達を引き止めた。

「ん？どした」
「あのね」
「うん」
「あの二人は、闇も見えるけどね、」

「すごく、輝いてる人だよ」

引き止めたかと思えばそんなことか、と思われたに違いない。

「…そうか」
「そうだ」
「そうか」
「Yes」
「YesorYes」
「好き」
「おう」

会話は、終わった。

「げー、雨だ」

やたらわざとらしくテヒョンが言っているのが聴こえ、窓の向こうを見ると、ぽつぽつと雨が降り出していた。

「あ、相合傘」

＊＊＊

「…雨か」
「なぁジミナー傘あるかー？帰りにもまだ雨降ってたら入れてくれー」
「ごめん今日寄り道day」
「あっまって俺も部活じゃん」
「お疲れ様」

窓から少し離れた席で、授業が始まる前に隣の席の友達と話していた。

昼休みの喧騒がまだ残っていて、その中に雨音が混じっていた。
てか窓開けてんのか、寒い。

「あ、」
「ん？」
「いや、なんでもない」

テヒョンとA、相合傘か、と思い出す。

いやいや、俺が入れればいいだけだし。折りたたみ傘常備勢だし。

鼻歌を歌い出したあたりで先生が入ってきて、途中で中断となってしまった。

「げー、数学だ」
「ジミナお前テヒョンと落胆の仕方そっくりだな」
「そうかな？」

適当に友達の問いを受け流し、教科書やノートをリュックから引っ張り出したところでチャイムが鳴り響く。

雨音だけが聞こえる教室はなんだかさっきよりも少しだけ居心地がいい。

きっと居眠りするのは確定だろうな、と思い、ノートを開いた。

雨音に包まれる他の教室、…B組を想像しながら。