思春期に中指を【95's】 (ページ5)

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昼休みの、いつも雑談をする時間がやってくる。学校にいる中で一番楽しい時間であり、たまに一番の苦になる時間。人付き合いは面倒だ。テンションが合う人っていうのはなかなかいなくて、なんていうか、キラキラしすぎている人が苦手だ。自分が劣っているとわかってしまうから。圧倒的な輝きの前に屈服するしかない気がする。

気が合う友達も学年が上がって突然垢抜けたとかそういうことがあって劣等感をよく感じる。その劣等感を強く感じやすいのが今この時間だったりするから、たまに苦。

「Aー、なにボケっとしてんのー」
「んー、ミアネミアネー」

窓際のいつもの場所を陣取り、友達と会話するのが日課だ。
窓の外を見ても何も生まれないし、と思い、教室内に目を向けようとすると、廊下でじゃれ合うジミンとテヒョン、そしてその二人の友達と思われる男子生徒数名がいた。

「ねえAー、いつもに増してボケっとしてないー？？」
「んー気にしないどいてー」
「廊下の男子たち見てたんでしょ」
「バレたか」
「恋してて目で追っちゃう〜とかではないこと私は分かってるから安心して」
「ありがと、好き」
「知ってた」
この友達は時々いる理解者の一人だ。ラブだぞ。

バカみたいに笑うジミンとテヒョンが、いかにも「男子高校生」といった感じで、青春してんなー、と私はぼやく。

「なんかさー、カースト上位って感じするよね、でもそれと仲良くしてるAはカースト上位じゃない」
「私にとって上位じゃないは褒め言葉だよ、個性派でいたい」
「流石」
「でもね、ジミンもテヒョンも決してカースト上位、とは呼べないと思うよ」
「うっそだ、うそうそうほうほ」
「ゴリラ人格やめろ」
「てへぺろ」
「JKするのもそれはそれでキモい」
……いじりが凄い。ゲラゲラ笑ってる廊下のひとたちより、傍から見れば私達のほうが馬鹿に見えるだろう。
そして話題もそれる。

「あのね、話題それたけどな、ジミンとテヒョンはな」
「うむ」
一息ついて、私は迷わず言う。

「闇を隠し持った、月と星だよ」

一瞬の沈黙。

「…詩的か〜〜〜？？？」
「感想の個性が強いな」
「あんがとよ」
そうだ、闇を隠し持った、月と星。
深い部分に、きちんと暗さを持っている月と星だと思う。なにか壮絶なことが過去にあったわけでもないのだ、私達は。でも、互の闇を認識しているような、そんな気がする。

また、しばらく無言になる。

耳には喧騒だけが届き、おもむろに孤独を感じた。