-生きる宝石は頑固者- ページ40
きらりきらりと朝日が昇り森を明るく照らしてゆく。
鬼はもう暫く出ない。
「__朝…」
「…あぁ。1日目が終わったんだな。」
「こんな初日でボロ雑巾みたいになってて俺、ちゃんと生き残れるのかな……」
炭治郎に動きを制されたAはすぐ近くの炭治郎の顔を見上げながら困ったように、自嘲気味に笑う。
……距離感近いなこの人。
ってか目、すごい綺麗…
赤い瞳に光が差し込みキラキラと輝いてまるで生きてる宝石みたい。
赤い髪の色ともすごく合ってる。
綺麗な人。
Aを写すその宝石が酷く歪む。
「……俺のせいだ。Aがここまで怪我を負ったのも、危険な目に遭わせてしまったのも。怒りで自我を失ってしまった。本当に、すまなかった。」
「いっ、いや、炭治郎さんのせいじゃありませんってば!ごめんなさい、責めるつもりで言った訳じゃなくて……っ」
炭治郎さんは両肩から手を離し傷口の開いたAの額にそっと手拭いで触れる。
黒い着物で分かりづらいが赤黒く変色したAの怪我は相当なものだった。
「だから責任を持って俺に手当てをさせて欲しい!!」
「はっ?」
バシィ!と己の胸を叩く炭治郎さん。
そして石のように固まる俺。
手当て?
いやいや、無理無理。
腹の傷えぐい開いてるし。
この人に腹見せろってか。
腹を見せるということは…
「ほら、上を脱いで。傷を見せてほしい。幸いすぐ近くに川がある。そこでAの服も洗おう!」
「むっ…、むむむむ無理ですぅうう!!」
朝日の昇る藤襲山にAの悲鳴な叫びが木霊し木々の間からは驚いた鳥たちが一斉に飛び立つ。
「いや、ほんと、あの!ですね。怪我をしたのは!俺の不注意!だから、炭治郎さんの責任とかそういう問題じゃなくてですね…!治療くらい1人でもできます!」
「…その足で?1人で川まで歩いていくのか?」
「……うぐ、、」
手鬼に握りつぶされた右足。
ドクドクと痛みで疼く。
幸い骨は折れてない、捻挫だ。
1人で歩くのはすこし厳しい。
でも!
俺が女だという事が
バレるわけにはいかない!
「…〜〜〜ッ!ハッ、!お、俺は怪我してませんッ!!」
「そんな分かりやすい嘘をつくな!!!」
きゅぴーん!と親指を立ててウィンクをひとつ飛ばすAに対し、鬼のような形相の炭治郎に怒鳴られた後、半ば強制でAの膝裏を抱え「むん!」と頬を膨らませながらズンズンと川へ向かって早足で歩く炭治郎に成す術はなかった。
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はな - とても素晴らしい作品でドキドキハラハラしながら読ませてもらっています!続編を読みたいのですがパスワード教えてもらえたら嬉しいです!! (2022年12月17日 1時) (レス) id: 91f9c89261 (このIDを非表示/違反報告)
らむね(プロフ) - 続き読みたいです!!パスワード教えてくれませんか? (2022年4月30日 15時) (レス) id: 5ec7e35342 (このIDを非表示/違反報告)
皐 - とても素晴らしい作品でした!続きも読みたいので、パスワード教えてください (2022年4月27日 18時) (レス) id: 5f014d6a1f (このIDを非表示/違反報告)
のん。(プロフ) - 胡蝶3姉妹推しです!さん» 胡蝶3姉妹推しです!さん はじめまして!恐れ多い御言葉大変恐縮です...!これからも書き殴っていきますので何卒お付き合い頂けますと幸いです。コメントありがとうございました! (2020年7月31日 9時) (レス) id: 026c0ddca4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶3姉妹推しです!(プロフ) - わぁぁぁ私の作品が塵以下だったとしたら貴方の作品は神より凄い! (2020年7月31日 6時) (レス) id: 7688185c2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のん。 | 作成日時:2019年9月1日 23時