【REBORN】クールな美女は，マフィア界の紳士!!5【雲雀恭弥】 (ページ10)

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Aは一歩離れて両手を前に出す。ゆっくりと左右に広げると，同調して氷柱に氷の枝が生えてきた。それは数を増やして，最終的には全てが真上を向いた。

仕上げにAが手を大きく一周させると，枝の上に直径1m程の丸い足場が出来上がる。

Aは満足そうに頷く。そして，氷の木の中心に跳び移ると，右手を広げてその場で綺麗に一回転した。

その直後，周りにあった全ての蔓に火が灯る。蔓は燃え崩れることなく，それが本来の姿であるかのように形を保っていた。

「よし，完成」

Aのその言葉に多くの者が動揺した。
一体彼女は何をするつもりなのだと。

それがAの口からは語られることなく，Aとアレックの話は進んでいった。

「ルールは昔と同じでいい？」

「嗚呼，いいぜ」

アレックが一番低い位置の氷に乗る。
それを合図としてAは宣言した。

「これよりゲームを始める
制限時間無し。氷から落ちた場合は失格

tre(3)，due(2)，uno(1)，zero(0)！！！」

その勝負は，まるでサーカスのようだった。

足場を減らさないよう，次から次へと素早く氷を跳び替える。その中で相手にダメージを負わせるため，刃物を投げたり，自らの拳や脚で攻撃したりする。

小柄なアレックと，細いが小柄とは言えないA。

機動力でいえばアレックの方が有利だが，氷から落ちたら負けという厳しいルールがある。
そのため，アレックに勝負開始時程の素早さはなかった。

だが，鋭く光るその目はしっかりAを捉え，確実にダメージを与えていた。

10分程経ち，燃え上がる勢いを増した炎。
その熱に溶かされた氷から落ちる水の量が増えてきている。

「熱い......！！」

限界に近いツナがふと漏らした声。それはAの耳に届いていた。

Aはほんの一瞬だけ観覧席を見ると，指を鳴らす。
ツナたちのほうにあった蔓が炎と共に姿を消した。火の蔓は元あった半分の量になっていた。

「ボス！」

アレックがXANXUSに一言声をかける。自分たちも熱いだろう。消してもらうかという考えがこめられていた。