標的137 ページ6
≪山本≫
山本の店の中では，山本の父親が一人で仕込みをしている最中だった。
山本の父は持っていた鯛を上に放り，空中で鯛を綺麗に捌く。鯛は形を崩さずに綺麗にまな板に落下した。
「俺の腕もまだまだ捨てたもんじゃねぇな！」
上機嫌のところへ，ｶﾞﾗｯと勢いよく扉を開けて山本が帰ってくる。一瞬焦った顔をして，誤魔化すようにネギを切り出した。
「どうした，武〜？忘れもんか〜？
父ちゃんはネギ切るのに苦戦中だ〜」
「な〜，親父」
「どしたい？」
「剣道，教えてくんね？」
＊＊
≪獄寺≫
獄寺が行き着いた先は並中の保健室。その扉の前で無言で立っていた。
数分もすると中からシャマルが出てきた。
「おっと！？
なぁんだ，隼人じゃねぇか。脅かすなよ」
「頼みがある」
「なんだって？恋愛相談か〜？
アドバイスとしては，まず......触れ！」
「ちげぇよ！！
なぁ......シャマル......！
俺を弟子にしてみねぇか？」
その言葉を聞いた途端，シャマルの顔付きが一変した。
シャマルは拒否するも，獄寺は必死に頼み込む。
獄寺に背を向け，厳しい声と顔で冷たく言い放った。
「おめぇにゃあ，もう懲りてんだよ
そういう話なら......
帰れ！！」
＊＊
≪雲雀≫
応接室のソファーに座って，資料を読み込む雲雀。
いつもと変わらないように見えるが，その右手にはハーフボンゴレリングがあった。
そこへノックの音が四つ響く。雲雀がそれに反応するとディーノ，A，ロマーリオが入ってきた。
「お前が雲雀恭弥だな」
「誰......？Aの知り合い？」
「俺はツナの兄貴分でリボーンの知人だ
雲の刻印のついた指輪の話がしたい」
「ふーん，赤ん坊の......。じゃあ強いんだ
僕は指輪の話なんてどうでもいいよ。貴方を咬み殺せれば」
「成程，問題児だな
いいだろう。そのほうが話が早い」
その言葉と同時に，ディーノは鞭を，雲雀はトンファーを構える。
だが，戦闘の雰囲気になったのも束の間。応接室にﾊﾟﾝｯと高い音が鳴り渡った。
「〜っ！！
何するんだよ，カタカナ！！」
「パーで叩いた」
「なんで！？」
「お前は馬鹿か？こんな所で戦ったら，壊れる上にこっちにだって被害くるんだ
いい歳して，場の雰囲気に呑まれるな。状況把握をしろ
戦うなら屋上行くぞ」
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作者名：雲狼 | 作成日時：2019年7月25日 14時
