31崩れる ページ32
俺は頬を伝う涙をばれないように拭って、立ち上がり、顔を上げた。
顔を見ると愛しさがこみ上げる。
正直、永遠とか信じてへんかった。
愛情なんて、いつかさめると思っとった。
やけど、時間というものはただ気持ちを濃くして、俺を放してはくれなかった。
俺は不思議と、これからも彼女を想い続ける自信があった。
永遠に、愛せると、心のそこから思った。
「桜井、俺な…」
呼吸を一度整える。
きっとこれが、最後やから。
「A!」
覚悟を決めて、開いた口から声はでなかった。
彼女の名前を呼んで手を振っているのは、一人の男。
正直、どこにでもいそうな、普通の人やった。
「わっもう来ちゃった」
嬉しそうな顔をして駆け寄る桜井は、ほんのり頬を染めていた。
黒々としたものが、胸の中をうずく。
ひんやりとした汗が、背中を伝った。
嫌な予感がする。
「あ、財前君、この人私の婚約者!」
少し離れたところからそう告げる桜井に、俺のなにかが崩れた。
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SHINO(プロフ) - 優雨さん» ありがとうございます。本当に嬉しいです。私の作品なんかで好きになっていただけたなら本望です。ありがとうございます! (2015年8月17日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ルイさん» ありがとうございます。そうですね、やはりこれが私らしいのでご容赦ください。笑 ハッピーエンドを素敵にかけるよう、努めます。 (2015年8月17日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 巌陰美園さん» ありがとうございます。そんな風に読んでいただけて、すごく光栄です。ありがとうございます。駄作というより、黒歴史ですね。笑 あの頃を思い出すと、作品を消したくなりますw (2015年8月17日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ドラゴンZさん» ありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです!ファンなんてとんでもないですが、とても幸せです。ありがとうございます。 (2015年8月17日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
優雨(プロフ) - はじめまして。幸村くんの時といい、とても感動しました!特に財前くんは好きなので!!前まで、切ない感じの話は苦手だったけど、今回すごく好きになりました!! (2015年5月4日 20時) (レス) id: 7a5228ac60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINO | 作成日時:2013年11月16日 10時