story27 ページ28
限界、と判断した私はおもむろに立ち上がり、屋上を目指した。
やはりああいう場所にすぐ馴染むなんてできっこない。
歯を噛み締めすぎて口の筋肉が痛くなってるくらいだ。
トントントンっと階段を駆け上がり、寂れた音を響かせて扉を開ける。
「お前、授業でてたんだな」
「はぁ」
なんでいるのよ。
私の憩いの場所が毒されたような気分。
1時間ぶりにその顔を視界に収め、ため息をついた。
「貴方は、こんな所にいていいの?」
仮にも生徒会長なんだから、と付け足すと、跡部はゆっくりと私に近づき、1メートルほどの間を空けて立ち止まった。
「生徒を更生させるのも俺様の仕事だ」
キメ顔付きでそう告げた跡部は腰に手を当て、私を見下ろす。
「お節介」
「うるせぇ、授業に戻れ」
私の言葉が気に障ったのか、少し不貞腐れた跡部。
「あんなとこにずっといるなんて無理よ」
あそこは息がつまる。
悪意の視線を感じるのは慣れているけれど、好奇心を含んだ視線はどうにも苦手。
「お前のクラスには鳳がいたな。
あいつならお前と気が合うだろう。
俺から話は通しておく」
「そんなのいい。
ていうか鳳って誰?」
教室に行ったのは初めてで、知ってるはずもない。
「鳳長太郎。テニス部の正レギュラーだ」
「2年生で?」
氷帝の正レギュラーってだけでもすごいのに、2年生なんて。
「ああ。あいつは宍戸亮ってやつとダブルスを組んでてな、気弱そうな面してやがるが、実力は確かだ」
「宍戸亮?」
「あーん?知ってんのか?」
昨日のあの時、ナンパから助けてくれた?2人組のうちの傷だらけのほうだったか。
宍戸亮って名前だった気がする。
あの人もレギュラーだったなんて。
「お礼、言っておいて」
「は?」
あの時、たぶんあのままだったら本当に危なかったと思う。
いらいらしてあんな態度取ってしまったけど、助けてもらっておいてあの態度は非常識だった。
「お前、宍戸とどういう関係だ」
低い低い声。
地面が揺れるかというくらい殺気がこめられている。
なんで、怒ってるの?
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SHINO(プロフ) - 菫-sumire-さん» ありがとうございます。こんな私に憧れる要素があるか、わかりませんが、ありがたいです。本当に未熟で、読みにくい部分もあるかと思いますが、皆様に納得していただけるように頑張りたいと思います。とても温かいコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 梅田さん» ありがとうございます。キャラの特徴や性格は私なりに研究していたつもりです。なのでそう言っていただけると本当に嬉しいです。氷帝にとって跡部さんは絶対的な存在だと思うのでそれを表現できていてよかったです。素敵なコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
菫-sumire-(プロフ) - SHINOさんの小説、影から読ませていただいておりました。憧れるところなんて正直言い切れません.....他のどの作品も楽しみにしています。 (2016年2月7日 12時) (レス) id: dbfe85220f (このIDを非表示/違反報告)
梅田(プロフ) - それぞれのキャラの特徴を良く捉えた上での跡部至上主義な発言がとても好きです。とりあえずの完結、おめでとうございます。続編も楽しみにしてます。SHINOさんの作品ですから、SHINOさんのペースで進めてください。一ファンとして影ながら応援しております。 (2016年2月7日 11時) (レス) id: 78d0f2e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ゆっきーさん» 返事がおくれてすみません!続きを楽しみにしていただけるのは、作者として本当に嬉しいです。ワクワクドキドキしていただける展開にしていきますので、よろしくお願いします。素敵なコメントをありがとうございました。がんばります! (2016年1月25日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINO | 作成日時:2014年7月26日 13時