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それから1時間くらい待っているとインターホンが鳴った
ピンポーーーン
「はい。」
『あ。横尾です。』
「ふふ。
はい、どうぞ。」
渉くんを家に招き入れるのは初めてだった
デートの帰りに家の前まで送ってもらうことは毎回だったけど……
こんな形で初めておうちにご招待するなんて
ドキドキが止まらなかった
さっきの電話を切ったあと
ほんとはちょっとしんどかったけど
散らかっているキッチンを見せるのは恥ずかしかったので
ほんのちょっぴりだけ片付けをした
そのキッチンに渉くんを案内する
『ありがと。
Aちゃんはとりあえず座ってて?』
「いいの?
ありがとう。」
手に持ったビニール袋をキッチンに置いて
渉くんは私をキッチンから追い出した
って言ってもカウンターキッチンだから私が座るソファからは渉くんが料理してるのは丸見えなんだけど……
いつもTVを見る方向とは反対向きに座って
テキパキと動く渉くんを見つめた
渉くんは無駄な動きがなく、
料理をすることに慣れている感じだった
「渉くんっていつも料理するの?」
思わず声をかけていた
『んー、そうだね。
料理するのは結構好きなんだ。』
「へー……。」
なんだか私なんかより上手そうで恐縮しちゃう
『実はさ、俺3人兄弟の末っ子なんだけど長男の奥さんが栄養士なんだよね。
それでいろいろ栄養素とかについても教えてもらってるんだ。』
へーーー
渉くんっていろんなことに勉強熱心だなって思うところがあったけど
栄養素まで気にしちゃうなんて…
すごい
仕事にも真摯に向き合う姿勢が素敵だなと思ったのが渉くんのことを好きになったきっかけだった
『Aちゃんってさ、冷え性でしょ?
この前手を繋いだ時も冷たかったなって思ったんだよね。』
「あー……
そうなんだよね。
手足はどうしても冷たくなっちゃって。」
『調べたんだけど冷え性とか血液循環が悪いと生理痛がひどくなることもあるんだって。』
さっきの電話の後にもうすぐに調べてくれたんだ
ほんとに私のこと心配してくれてるんだと思うとちょっと嬉しくなった
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作者名:桃マスカット | 作成日時:2022年4月26日 18時