【stpr】組長娘と婚約者候補【な組】Part4

#154 ページ24

あれからジェットコースターやおばけ屋敷など楽しんだ。

まさか莉犬がホラー系があんなに苦手だったとは……。

ジェルとのこと話してたから意地張って入ったらあの様…と落ち込んでたし。

「最後は定番の観覧車！ですね！」

そう言いながら二人して観覧車に入る。

「観覧車からの眺めって絶景ですよね〜！」

「確かにそうだね」

夕日に照らされてキラキラ光る。

「あの、Aさん」

「なに？」

そう言って莉犬の方に顔を向けるとおでこにキスをしてきた。

「大好きです、好きになった日より今のほうがより…好きです」

莉犬の真剣な言葉と声色、そして顔。

「俺、例えフラれてもこの恋したこと後悔しません」

それほどまでに私が好きなのか……。

そして私の隣に座って抱きしめてきた。

「今だけは……許してください、抱きしめること」

切ない莉犬の声に胸を針で突かれたようなチクンという感覚。

そしてドキドキと速い鼓動。

「莉犬……」

そして私もそっと莉犬を抱きしめた。

そしてあと数分で降りるというときに体を離す。

なんだか少し、名残惜しく感じた。

その日の帰り道はいつもよりゆっくり帰った。

月夜に伸びる影は重なっている。

でも本人二人は重なってないから。

それがもどかしく、少し悲しい。

…切ない……。そう思ったのは莉犬が初めてだった。

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