【stpr】組長娘と婚約者候補【な組】Part3

#103 ページ21

キス…事故とはいえジェルとしても。

さとみにされてもなーくんにされても。

「…嫌じゃなかった…」

導き出される答えはひとつ。

少なからず彼らを好ましいと思っているからだろう。

とりあえずジェルとまた話すようにはなりたいな。

でもこの調子じゃしばらく無理だろうな。

「Aさーん、ちょっといいですか？」

ころん？

「どうかした？」

「突然ですが、キスしていいですか？」

事故、不意打ち、宣言、許可。

よく被らずにここまでくるもんだ。

私は答えのかわりに目を閉じてころんに顔を向ける。

その行動で理解したころんは遠慮がちに肩を掴む。

目を閉じてても分かる。どんどん近づいてくるのがわかる。

吐息がかかるくらいで一度止まる気配がするが。

近づいてくる気配がない。片眼を開けると。
　
「っ……」

止まってた。手首にキスしたときの威勢どこに行ったの？

「……ころん、いつまで待たせるの？」

「仕方ないじゃないですか！キスするのって勇気いるんですよ！」

つまりあのときは勢いだったの言うの？

私ははぁ〜とため息を吐き次の瞬間。

「っ……」

「んむっ！？」

私からキスしてやった。

「……いつまでも女を待たせるのが悪い」

男だったらキスと告白は待たせずにちゃちゃっとやるべき。

ころんは少し固まると倒れた。

「誰かー！ころん運んでー！」

その後、篁が肩にころんを担いで行った。

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